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2019年12月18日(水)

「森友」不開示は違法

値引き根拠など 大阪高裁が逆転判決

国に賠償命令

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(写真)勝利判決を喜ぶ原告たち=17日、大阪高裁前(佐々木芳郎氏撮影)

 学校法人「森友学園」(大阪市)の国有地売却額などを一時不開示とされ、精神的苦痛を受けたとして、木村真・大阪府豊中市議(無所属)が国に11万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が17日、大阪高裁でありました。中本敏嗣裁判長は売却価格と値引きした根拠を開示しなかったのは違法だとして、請求どおり国に11万円の支払いを命じました。

 一審の大阪地裁判決では、国が売却額を不開示にしたのは違法としながらも、値引きの根拠を不開示にしたのは適法として3万3千円の賠償にとどめていました。高裁判決では、値引きの根拠とされた「地中ごみ」の存在などが記された特約条項は「売却額と同等に重要な情報というべきで、公表する要請が高い」として不開示を違法と認定しました。

 判決によると、木村氏は2016年に売却額などを開示請求しましたが、財務局は法人の権利を害する恐れがあるなどとして不開示を決定。17年に決定取り消しを求めて提訴したところ、一転開示されたため、損害賠償請求に切り替えました。

 財務省近畿財務局は豊中市の国有地を学園に鑑定価格9億5600万円から「ごみ撤去費」約8億円などを差し引いた1億3400万円という格段に安い値段で売却しました。同国有地の地層からみて深度3メートル以下に「ごみ」は存在し得ないことが専門家などの証言で明らかになりました。不当な値引きに安倍晋三首相の妻、昭恵氏が深く関与していた疑いが強まり、国会でも追及されてきました。

 木村氏の提訴は、学園をめぐる一連の問題が発覚する契機となりました。同氏は判決後、記者会見し「請求が全面的に認められたこと自体は良かった」と評価したうえで、「ただ、政治家は誰も責任をとっていない」として、さらに追及を続けていく決意を語りました。


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