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2019年12月19日(木)

志位委員長の領土問題発言 ロシアの国会議長らが反応

「領土不拡大」原則には口つぐむ

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(写真)読売新聞15日付志位和夫委員長インタビュー

 日本とロシアの外相がモスクワで19日に会談するのを前に、両国の領土問題にかんする日本共産党の志位和夫委員長の発言をロシアのメディアが注目し、同国の国会議員らが反応しています。

 志位氏は「読売」15日付のインタビューで、安倍首相が従来の日本政府の「4島返還」からも後退した事実上の「2島返還」をロシア側に打診したと批判。「千島列島すべてを対象に」返還交渉をすべきで、それでこそ、南千島(択捉、国後)も取り戻せると指摘しました。

 これをロシア国営のロシア・テレビ(RT)、タス通信、ロシア通信、民間のインタファクス通信などが同日、一斉に報道。国会議員や識者がコメントを求められる事態となりました。

 ビチェスラフ・ボロジン下院議長は、「ロシアの領土一体性と主権への脅威。そうした主張はロ日関係に有害だ」と反発。「第2次世界大戦の結果を見直す試みは、誰のためにもならない」と、ロシアが日本の正当な領土を不法占領していることへの批判をけん制しました。

 コンスタンチン・コサチョフ上院外交委員会委員長は、「諸島に関する立場の急進化だ」とコメント。下院のアントン・モロゾフ議員は、「領土でロシアは譲歩しない」と、有力紙「イズベスチア」に語りました。

 モスクワ教育大学のウラジーミル・シャポバロフ氏は、ネットメディア「自由報道」で、「この発言にはできるだけ真剣に接したい」とのべつつ、「第2次世界大戦中に日本が非常に否定的な役割を果たしたので、今の地政学的な現実が存在するのだ」と、千島の占領を正当化しました。

 「読売」インタビューで志位氏は、第2次世界大戦末期にソ連が千島列島の引き渡しを英米と約束したヤルタ協定と、1951年のサンフランシスコ講和条約での日本による千島列島の放棄を、「領土不拡大」の戦後処理の大原則に反する不公正な取り決めだと批判。

 「択捉、国後は千島列島に含まれない」という国際的に通用しない日本政府の立場ではなく、千島放棄を定めた講和条約にとらわれず、全千島を対象にロシアと交渉すべきだとのべました。

 ロシアの国会議員や識者のコメントは、旧ソ連・ロシアの行為が「領土不拡大」の原則を踏みにじるものという志位氏の肝心の指摘に、口をつぐみ、まったく反論できないのが特徴です。(田川実)


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