2019年12月27日(金)
主張
カジノ汚職
闇を徹底解明し白紙撤回せよ
日本のカジノ事業への進出を狙った中国の企業に便宜をはかり、その見返りに多額の賄賂を受け取ったとして、自民党所属だった秋元司衆院議員が逮捕されました。疑惑は同議員にとどまりません。日本にカジノ市場を立ち上げ、そこに参入するためなら賄賂でも使うという海外カジノ企業とこれに応えた売国の政治家の醜い癒着の徹底解明が急務です。
働いた「異常な力学」
日本のカジノ解禁法制は、カジノ議連(国際観光産業振興議員連盟)が議員立法で提案したカジノ解禁推進法(2016年12月成立)と、政府の責任で制度設計をしたカジノ実施法(18年7月成立)との二つの段階で進みました。
秋元議員は、カジノ議連副幹事長として「推進法」提出を先導し、同法案が衆院内閣委員会でわずか6時間の審議で強行採決されたときには同委委員長としてこれを取り仕切りました。
17年8月からは観光政策を扱う国土交通副大臣と内閣府副大臣(IR担当)を兼務し、「実施法」案の閣議決定(18年4月)によるカジノの制度設計に強い影響力を持つ立場でした。
カジノ利権に最も近いところに居続けた議員の一人であり、海外カジノ企業にとっては買収する“うまみ”のある存在でした。
二つのカジノ法は自民、公明、日本維新の数の力で強行成立されましたが、国民の6割から7割が「カジノ反対」という世論は全く揺らいでいません。これは、カジノ解禁が、国民の要求に根ざした動きではなく、「異常な力学」が働くなか押し付けられたものであることを物語っています。
それを示したのが「推進法」成立直後に米国のカジノ業界がつくる「アメリカゲーミング協会(AGA)」が発表した声明です。同法成立を歓迎した上で、「(AGAは)日本の議員、メディアやその他の利害関係者を教育するために相当な努力を払ってきた」と公言したのです。
「実施法」の国会審議では、米カジノ事業者の代理人がカジノ議連の中枢メンバーに対し、政治資金パーティー券購入名目で脱法的な資金提供をしていたことが問題になり、献金リストに名前があった西村康稔官房副長官(当時)は事実を認めました。
日本で2000年代初めから始まったカジノ推進派の動きが、海外カジノ業界に「教育」され、そこに潤沢なカジノマネーが介在したという、極めて根深い反国民的な構図が浮かび上がります。
日本社会にもたらす大きな害悪を置き去りに、カジノを「成長戦略の目玉」と言って推進する安倍晋三首相の責任は重大です。秋元議員を副大臣に任命した責任も問われます。
17年2月の日米首脳会談で訪米した安倍首相に、トランプ大統領が自身の最大の支援者であるカジノ企業、ラスベガス・サンズに日本での営業許可を与えるよう強く働きかけたという問題も報じられています。
洗いざらい明らかに
今回の汚職は、日本をマカオに次ぐ「世界第2のカジノ市場」に仕立てようという海外カジノ企業の動きと結びついたものです。その背景の利権構造を洗いざらい明らかにし、カジノ解禁は白紙撤回すべきです。