2019年12月31日(火)
きょうの潮流
大みそか。すす払いや掃き納めも済み、くる年を待つ準備は整ったでしょうか。それとも、どこかに出かけてゆく人も。〈煤(すす)逃げと言へば言はるる旅にあり〉能村登四郎(のむら・としろう)▼身も心も清めて、新年を迎える。くり返し継がれる習わしも、過ごした年に社会や身の回りに起きた事柄によって、のぞむ胸のうちはちがいます。暗さや明るさ、後退や進歩、失意や希望。年の変わり目に絡ませる気の持ちようもさまざまでしょう▼年末、現職の国会議員がおよそ10年ぶりに逮捕されました。カジノ利権をめぐる贈収賄で。日本への進出を狙う海外のカジノ企業から賄賂を受け取ったとされる秋元司衆院議員は、自民党でカジノ担当の内閣府副大臣でした▼人を陥れるギャンブルに群がり、汚い金で私腹を肥やす。国政をわが物にする安倍政権の姿がまたもあらわに。国民のためではなく、自分のために政治を利用する。あの「桜を見る会」で知れ渡った、首相みずから公的な行事や税金を私欲に使う浅ましさ。ただされても悪びれない厚顔無恥。周りも推して知るべしか▼今月26日に7年となった最悪の政権は国会を無視して中東への自衛隊派兵を決めました。このままでは…。思いが募る1年は一方で、それに抗する市民が声を上げ、野党の共闘も進みました▼私物化を許さない、増税反対、平和や地球を守れ―。ときに世界の声とも共鳴しながら、悪政を押し返し、展望をひらいてきた新しい夜明けの光。さあ2020年こそ、その力で政治のすす払いを。