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2020年1月10日(金)

主張

「安倍農政」の転換

農業と農村に希望ある未来を

 日本の農業や農山村は安倍晋三政権の下で危機が広がっています。農業者や農地の減少に拍車がかかり、主要国最低の食料自給率の低下に歯止めがかかりません。このままでは国民の生存基盤が脅かされ、社会の持続可能性が土台から崩壊しかねません。自然災害の頻発もこれに追い打ちをかけます。戦後最悪の農業つぶし政権を退場させ、農業と農山村の再生に足を踏み出すことは、新しい年の国民的な重要課題の一つです。

持続可能な世界と日本へ

 いま世界では、農政の流れの歴史的な転換が起きています。

 国連は昨年から、小規模・家族農業への支援を国際社会に呼びかけた「家族農業の10年」をスタートさせました。農業関連の多国籍企業に軸足を置き、輸出偏重で、大規模化を推進してきた従来の農政が、貧困と格差、飢餓を拡大し、食の安全や環境を脅かしてきた反省から、小規模・家族農業の重視にかじを切ったのです。

 国連はまた、目先の「経済効率」優先ではなく持続可能な社会への転換が人類の死活的な課題であるとして「持続可能な開発目標(SDGs)」を定めました。飢餓や貧困の克服にも、家族農業は重要な役割を果たすとされました。

 ところが安倍農政はそれとは真逆です。「競争力強化」の名のもとに大規模化・効率化一辺倒を押しつけ、家族経営と地域農業を守ってきた農地や農協制度の解体や種子法の改悪を進めてきました。

 何より重大なのは環太平洋連携協定(TPP)や日本と欧州連合(EU)との経済連携協定(日欧EPA)、日米貿易協定など空前の輸入自由化を次々に強行したことです。米トランプ大統領に追従し、日本農業を一方的に売り渡した日米貿易協定は、さらなる自由化協議の開始も含んでおり、際限のない自由化は必至です。

 政府がいま進めている食料・農業・農村基本計画の見直し作業のなかで、食料自給率の向上や小規模・家族農業の重視、中山間地域の振興などについて注文や意見が多く出されています。それを真剣に受け止めるのであれば、輸入自由化や「競争力第一」という農政からの転換に踏み出すべきです。

 日本社会の中では注目すべき変化も起きています。農業や農山村への期待と関心が高まり、都会から農村へ移住し農業や地域づくりに参加する若者が増えています。リーマン・ショックや東日本大震災後に強まった「田園回帰」といわれるこの流れは、「経済効率」最優先ではなく、人間らしい働き方や暮らしを農業や農村に求める若者の存在を示すものです。食の安全や環境にやさしい農業を模索し、生産者や消費者、農協などが共同する地産地消や循環型の地域づくりも広がっています。

農業者・市民・野党の共同

 「こんな農政が続いたら地域はなくなってしまう」―多くの農村に広がる深刻な不安です、安倍農政への農業者の不信は大きく、昨年の参院選で10の1人区で市民と野党の共同候補が勝利したのもその表れです。

 持続可能で希望ある日本社会の実現には農業と農山村の再生は欠かせません。日本共産党はその立場からも、広範な農業者も加わった市民と野党の共同を発展させて安倍政権を終わらせ、野党連合政権の実現に力を尽くします。


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