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2020年1月19日(日)

ASEAN外相会議

中国は国際法尊重を

南シナ海 EEZ侵害に懸念

 【ニャチャン=井上歩】東南アジア諸国連合(ASEAN)の外相会議と関連会合が16、17の両日、ベトナム南部ニャチャンで開かれました。会議でASEAN外相は、中国の海警艦船を含む船団による東南アジア諸国の排他的経済水域(EEZ)侵入が相次いでいることを念頭に、南シナ海で国際法と国連海洋法条約が守られなければならないとの考えで一致。会議の議長報道声明に国際法の尊重を強調する文言が盛り込まれました。


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(写真)記者会見するベトナムのファム・ビン・ミン副首相兼外相(中央)=18日、ニャチャン(井上歩撮影)

 記者会見した議長国ベトナムのファム・ビン・ミン副首相兼外相によると、「この間のEEZ侵害などの南シナ海の情勢、重大な事案が信頼を損ね、緊張を高めており、地域の平和と安定を弱めかねない」との懸念が各国外相から表明されました。

 インドネシアのルトノ外相は、南シナ海行動規範(COC)協議の進展を歓迎しつつ、「(海の)現場にも積極的な進展があるべきだ」と指摘したとツイッターで明らかにしました。

 報道声明には、「国連海洋法条約を含む国際法が、海洋上の主権、主権的権利と合法的利益を決定する基礎」であり、「海洋法条約は海洋の法秩序の最重要の枠組みとして尊重されなければならない」と10カ国外相が「確認した」ことが盛り込まれました。

 ミン副首相は、国際法の尊重をはじめ、紛争の平和的解決や実効性あるCOCを目指すことなど、南シナ海問題でのASEANの合意点が今後推進されていくと会見で明らかにしました。

 昨年の東アジアサミットを欠席したトランプ米大統領が、3月に米国でASEAN首脳との特別首脳会議を開きたいと要請している件について、ASEAN外相は歓迎を表明。参加について、各国「首脳の最終判断を仰ぐ」としました。

 また会議は、紛争により「ロヒンギャ」住民などに大量の避難民が生まれたミャンマー・ラカイン州の問題を議論。同州の平和と安定、法の支配や住民間の調和を促進する取り組みを引き続き支持し、人道援助や避難民の帰還プロセス、持続可能な発展の支援で役割を果たしていくことを確認しました。この問題に関するASEAN事務局の特別支援チームが近く活動を開始します。

 会議は、ベトナムが提案した今年の重点課題で合意。国際問題に対するASEAN共通の立場の追求と10カ国の結束強化、経済連結、メコン圏開発協力、ジェンダー平等、ASEAN共同体意識の推進、国連との連携強化などを重視して進めます。

 ベトナムのグエン・クオック・ズン外務次官は、今年の重点について「共通の利益での一致と結束、人々の共同体意識と支持を、ASEANの統合を進める接着剤にしたい」との狙いだとメディアに語っています。


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