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2020年1月20日(月)

福山候補勝利で政治変える好機 京都市長選

くらし・景観・平和 広がる共感

記者座談会

 京都市長選が19日告示(2月2日投票)されました。「つなぐ京都2020」の弁護士、福山和人候補(58)=無所属新、日本共産党・れいわ新選組推薦、新社会党府本部・緑の党府本部支持=が、自民党、公明党などに推され4選をめざす現職の門川大作候補(69)と激しく競り合う選挙戦の様相を、担当記者が話し合いました。


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(写真)声援に応える福山候補=19日、京都市左京区

負担増告白の現職

  市民の共同候補、福山氏の訴えに、どこでも熱烈な声援が飛んでいたね。日本共産党の小池晃書記局長や、れいわ新選組の山本太郎代表も駆け付け、共同の広がりを感じさせた。府連が現職を推薦した立憲民主党の熱烈なサポーターも「相乗りは残念。私は福山さんを応援する」とエールを送っていた。

  門川陣営の出陣式は、「厳しい」の連呼だった。自民党選対委員長の下村博文衆院議員は「自民党は自治体の首長は3期までの推薦と決まっている」が、「今回は党本部も推薦以上の全力で支援させていただく。それだけ厳しい選挙」と引き締めた。公明党府本部代表の竹内譲衆院議員は「横一線。少しでも気を抜いた方が負ける」「勢いで負けている。逆転勝利を」とハッパをかけた。

  門川氏の確認団体「未来の京都をつくる会」会長の立石義雄京都商工会議所会頭まで出陣式で「市庁舎に赤旗がたっては絶対にいけない」とぶった。福山候補は「ぼくが市長になったら、たつのは保育所や」と切り返しているが。

  語るべき実績がないということだ。門川陣営のビラには驚いた。「市民のみなさん『本当のこと』を知っておいてください」というもの。「敬老乗車証の改悪を阻止し、現行制度を守ります」という主張は「無責任」だという。結局、門川市政は負担増=改悪を検討しているという告白じゃないか。

  そのビラにも実績として紹介されている、保育所の待機児童が「6年連続ゼロ」という宣伝も怒りを呼んでいる。だって、「保育所落ちたの私だ」というお母さん、お父さんがたくさんいる。「ゼロ」というのは国の甘い基準でのこと。潜在的な待機児童は昨年10月1日現在で1259人もいる。

「パッケージ」反響

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(写真)福山候補の訴えに声援を送る人たち=19日、京都市左京区

  「子育て環境日本一」というのが門川市長の売り文句だが、「うそだよね」と若いお母さんたち。全国では当たり前になっている全員制の中学校給食が実施されず計画もないのは府内でも亀岡市と京都市だけ。子どもの医療費助成も京都市は府内最低水準だ。

  だから、福山さんの全員制の中学校給食実施、子ども医療費の中卒までの無料化など「くらし応援すぐやるパッケージ」が反響を呼んでいる。

  高校生や大学生には、返さなくてもいい奨学金や、地下鉄定期券の割引率を6割にする政策が好評だ。大学や高校の門前でのシールアンケートに「いいね」と人だかりができるほどだ。

  福山さんは「すぐやるパッケージ」は市予算の1%未満の約70億円でできることを示して、「ないのはお金じゃなくて、市長のやる気や」と訴えている。

  慌てたんだろうね。門川市長は昨年末の京都新聞社の候補者討論会で「福山さんが言っていることを検証したが(政策の実行には)200億円足りない」と言った。ところが、福山さんに根拠をただされると「またあらためて」と逃げた。

  当然だ。福山さんが示した数字は市の財政当局にも確認した数字だ。その後、2回の候補者討論会があったが、門川市長は「200億円足りない」とは言えなくなり出陣式でも、口をつぐんだ。

  その一方で、門川陣営は「(福山候補が当選したら)リニアや北陸新幹線(延伸)ができるかどうかわからない」(自民・下村氏)と巨額の大型事業には熱心だ。

宣伝 対話 やりきる

  門川市長の実績といえば、職員減らしによる予算削減が自慢だが、市議の村山祥栄候補は「今の約半分の予算で運営できる」といっそうのリストラを推進する立場だ。

  交通混雑、住民とのトラブル、地価高騰など「観光公害」への市民の不満の高まりにも門川陣営は慌てているね。陣営の一人の国会議員は、かつては観光客を増やしてほしいといい、いまは困るというのは“身勝手”かのように問題をすり替える。

  安倍政権の「観光戦略」の優等生ぶりを発揮し、観光インバウンド(訪日外国人)呼び込みにまい進し、ホテル・簡易宿泊施設を急増させた矛盾が噴き出している。門川市長も、地域に貢献しない宿泊施設は「お断り」と言い始めたが、「上質」であれば規制を緩和してでも誘致するという考え方だ。

  典型的なのが世界文化遺産の仁和寺(にんなじ)門前の高級ホテル計画だね。景観が台無しだと反対運動が起きているが、門川市長は推進の立場だ。

  「このままでは京都が京都でなくなる」と福山さんは、ホテル、民泊は総量規制し、京都のまちなみと景観を守り、観光客と住民の路線分離で交通混雑を解消することなどを提案している。

  自衛隊の中東派兵問題で改めて、京都市が自衛隊員勧誘のために18歳と22歳の名簿を宛名シールにして差し出していることも問題になっている。

  福山さんは、弁護士として、市民とともに名簿提出反対の先頭に立ってきた。若者の命とプライバシーを守るかどうかも争点だ。

  伝われば政策も候補者も福山候補が断然いいことははっきりする。問題は、対話の中でも市長選があることを知らない人が意外に多く、知っていても「どうせ変わらない」と投票に行く気がない人も多いこと。ほぼ3人に1人しか投票意思がないという調査もある。「福山さんが市長になれば政治は変わる」と、どれだけ宣伝・対話しきれるかだ。

  20日から通常国会が始まる。「桜を見る会」疑惑、「カジノ汚職」や自衛隊の中東派兵など安倍政治が根底から問われている。福山勝利が「日本中に福を呼び込む」(小池氏)インパクトを与えることは間違いない。それだけに自公など現職陣営も各種団体・業界の決起集会を相次ぎ開き、締め付けを図るなど必死だ。政治を変える絶好のチャンスを生かせるかどうかは、残る期間の奮闘にかかっている。


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