2020年1月25日(土)
地域医療の窮状に拍車
公聴会で診療報酬削減に批判
中央社会保険医療協議会(厚生労働相の諮問機関)は24日、静岡県富士市内で、公的保険が適用される医療の公定価格を決める2020年度の診療報酬改定に向けた公聴会を開きました。県内の医療関係者ら10人が意見発表し、安倍政権下の連続マイナス改定が地域医療の窮状に拍車をかけている実態を改めて浮き彫りにしました。
産科医の赤堀彰夫・県医師会副会長は、「地域医療の疲弊の原因に、初・再診料など基本診療料の低水準がある」として引き上げを要求。「地域では一部の診療科の維持が困難になり、住民の健康維持に影響する懸念が生じている」と訴えました。少子化対策として産科医・小児科医の確保策も求めました。
同会理事で病院勤務医の小林利彦氏は、国が進める統廃合や病床削減への誘導策に懸念を表明。多くの中小病院が経営難のもと、統廃合に安易に従うことで「地域住民の(医療)アクセスが大きく悪化することは避けたい」と強調しました。
さらに、在宅医療を担う訪問看護ステーションで、看護師が患者の緊急時に複数対応しても十分な診療報酬が受け取れないという施設管理者や、小規模の個人薬局は「存続の危機だ」と訴えた薬剤師を含め、診療報酬アップを求める意見が続きました。
保険料負担を減らすためマイナス改定を求めてきた関係者からも、「(医療従事者の)過重労働を解消しないと人材確保が困難になる」(連合)と懸念する意見が出ました。