2020年1月29日(水)
主張
予算委の首相答弁
深まる疑惑 言い逃れは通らぬ
「桜を見る会」をはじめ安倍晋三政権の下で続発する疑惑や汚職をめぐって27、28の両日、衆院予算委員会で論戦が行われました。野党の追及に、首相は「記録が残っていない」などと言い逃れをはかろうとしましたが、具体的な事実を一つ一つ示してただされると、まともに説明できません。一方、証拠となる関係文書の提出などを求められても政府側は拒否するばかりです。首相の答弁には全く説得力はなく、疑惑は一層深まりました。真相解明を求める国民の声に背を向け、居直り続ける首相に政権を担う資格はありません。
首相自ら招待基準を逸脱
「桜を見る会」をめぐる一問一答形式の国会論戦は、昨年11月8日の参院予算委員会以来、2カ月半ぶりです。この時、日本共産党の田村智子議員から、税金を使った公的行事を「私物化」した実態を明らかにされ、首相は招待者のとりまとめに関与していないとごまかしました。しかし、その後に新事実が次々と発覚し、首相のウソや証拠隠しなどが大問題になっています。今月召集の通常国会で、首相は衆参本会議での野党の代表質問への答弁に立ちましたが、「詳細は明らかでない」「指摘はあたらない」などと開き直り、国民の疑問にこたえようとしません。
衆院予算委でも首相は詳しい説明を拒み、野党側の調査要求に応じない姿勢を変えません。しかし、野党から矛盾を突かれると、苦しい答弁に追い込まれました。その一つは「桜を見る会」参加者が、ずっと1万人前後だったのに、第2次安倍政権以降に増加し、2019年には1万8000人にも膨れ上がった問題です。日本共産党の宮本徹議員が取り上げました。
首相はこの間、参加者増について“長年の慣行の中で、基準があいまいだったから増えてきた”などと釈明を繰り返しました。これに対し宮本氏は、閣議で配布される開催要領では1万人規模と記されており、首相はそれを守る責任があるのに、それを無視し幅広く参加者を募っていたことを地元事務所の作成した申し込み文書などを突き付けてただしました。「桜を見る会」は功績・功労のあった人を招待するのが趣旨ですが、同文書にはそんな記載はありません。
麻生太郎財務相も首相時代、幅広く参加者を募ることはなかった、と認めました。安倍首相が開催要領からの逸脱行為を続けてきたことが、参加者の膨張につながったことは明白です。さらに、安倍事務所が推薦すれば、「桜を見る会」招待状が自動的に参加者に届く問題について、首相は「不適切」と認めました。内閣官房や内閣府が事実上ノーチェックだったことは隠しようがありません。
開場前に多くの支援者を入場させて優遇していた問題も質疑で浮き彫りになりました。選挙で「功労」があった地元有権者を招き、税金で飲食を提供していた疑いはいよいよ濃厚になっています。
「私物化」政権は退場を
マスメディアの世論調査では、「桜」疑惑の政府の対応・説明に「納得できない」は78%(「日経」27日付)、73%(「朝日」28日付)となっており、国民の不信は高まる一方です。自民党支持層でも6割以上が納得できないと答えています。説明責任を果たさない安倍政権を追及し、真相を解明することは国政の最優先課題です。