2020年2月19日(水)
きょうの潮流
うそをつくと、鼻が伸びるピノキオ。米ワシントン・ポスト紙はそれを転じて、政治家の発言の真偽をランク付けしてきました▼1ピノキオ=不都合な事実の一部を隠し、都合のいい事実をつまみ食いする。2ピノキオ=ゆきすぎた事実の欠落や誇張。3ピノキオ=重大な事実誤認や明らかな矛盾。4ピノキオ=大うそ。そんな基準で▼いまやピノキオは不名誉な称号として政界に定着。トランプ大統領は「底なしのピノキオ」と認められているそうです。権力者が虚偽の情報を流し、平気でうそをつく昨今、事実を検証するファクトチェックの重要性はますます高まっています▼ひるがえって日本はどうか。いま国会では「桜」疑惑にたいする首相答弁の信頼が崩れています。前夜祭の会場となったホテルが、これまでの答弁を完全に否定する見解を文書で示したのです。明細書を発行しなかったことも、宛名のない領収書を発行することもない―▼事務所を通してホテルに確認したという安倍首相は、あくまで一般論だと。しかし、その後の取材にホテル側は「例外があったとは答えていない」と回答しています。自分の答弁が信用できないなら審議は成り立たないと強弁する首相。信じられないようにしたのは誰なのか▼証拠はいっさい示さない。事実を証明する文書は隠す。口裏合わせに官僚を利用する。ほとんどの国民が首相の説明に不信を抱いているのも当然です。見るものが恥ずかしくなるような言い逃れ。あのピノキオもびっくりか。