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2020年2月19日(水)

カナダ ガス輸送管建設計画

先住民・市民が反発

鉄道封鎖・首相は外遊中止

 カナダ西部のブリティッシュコロンビア州北部に計画されているガスパイプライン建設をめぐり、先住民や支援する市民の抗議がカナダ全土に広がっています。各地で鉄道が封鎖される抗議行動が起こり、鉄道網がマヒするなか、トルドー首相は、外遊日程を中止する事態になっています。(鎌塚由美)


 ブリティッシュコロンビア州の内陸から太平洋に面した港まで、約670キロにわたるガスパイプラインの建設が進められようとしています。TCエナジー社(旧・トランスカナダ社)の約66億カナダドル(約5500億円)のプロジェクト。

 同社は、先住民からの理解を得て建設を進めているとしていますが、先住民の間には根強い反対があり、パイプラインの3割が通過する先住民ウェツウェテン族の土地では、指導者らが同意せず2月初旬に建設許可をめぐり同州の環境当局に異議申し立てをしていました。

 先祖代々の土地を守ろうと抗議を続けていたウェツウェテンの人々に対し、連邦警察が6日に重装備で排除に乗り出したことで怒りが爆発。これまでも先住民を土地から追い出す際に、連邦警察が乗り出してきた歴史と重なり、各地で先住民や環境活動家らが抗議を繰り広げています。

 同州バンクーバーでは、港などへの道路が閉鎖されたほか、デモによって電車がラッシュ時に運休になる事態も。鉄道封鎖が広がる中、同国最大のカナディアン・ナショナル鉄道でも9万人超の乗客に影響が出ています。

 抗議行動が広がるなか、外国訪問中だったトルドー首相に批判が集中。16日に予定されていた外遊を中止すると表明しました。17日には、先住民の代表や州首相らと連絡を取っていると明かしましたが、事態打開のための対策については具体的な言及を避けました。

 輸送が中断し、経済にも影響を及ぼすなか、野党・保守党や経済界は政府が介入し、事態打開を急ぐよう迫っています。


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