2020年2月22日(土)
主張
森友学園問題
安倍首相の責任は免罪されぬ
大阪府内の国有地が破格の安値で払い下げられ、その交渉記録などの公文書の破棄・隠ぺいが明らかになっていた「森友学園」問題で、国や大阪府から補助金をだまし取った疑いで起訴された前学園理事長の籠池泰典被告と妻・諄子被告へ、大阪地裁が有罪判決を言い渡しました。しかし、「森友」問題の核心は、国民の共有財産である国有地が不正に処分され、それに安倍晋三首相夫妻らが関与し、国政をゆがめたという、日本の民主主義の根幹に関わる疑惑です。裁判で解明されなかった、首相夫妻らの責任が改めて問われます。
政治が私物化された
首相の妻・昭恵氏が、学園が開設予定だった小学校の「名誉校長」を一時務めていた「森友学園」問題は、首相の長年の友人が理事長の「加計学園」の獣医学部開設などとともに、安倍政権下での「国政私物化」が厳しく追及されてきた問題です。いま焦点となっている、政府主催「桜を見る会」に、首相が地元の後援会員などを大量に招待し、税金で飲ませ食わせしていた「桜」疑惑とも直結する一大政治問題です。
「森友」問題は、3年前の2017年2月、大阪府豊中市の市議らが学園に払い下げられた国有地の価格が公開されていないと情報公開請求訴訟を起こし、一部のマスメディアが報道して、表面化しました。その後の報道や日本共産党など野党の追及で、売却価格は鑑定価格より8億円も値引きされていたことや、籠池被告が昭恵氏と学校予定地を視察した写真を財務省に見せたこと、昭恵氏がお付きの政府職員を通じて財務省に問い合わせたこと、籠池被告が「棟上げ式に昭恵氏が来る」と財務省に伝えたことなど、異常な蜜月関係が明らかになってきました。
安倍首相は、「私や妻の昭恵が関係していれば、首相も国会議員も辞める」(17年2月17日の国会答弁)と開き直りました。その答弁を受け、当時の財務省の佐川宣寿理財局長が、交渉経過などの「資料は廃棄した」とか「値引きは新たなゴミが見つかったためだ」と言い張り、首相答弁とのつじつま合わせに躍起になりました。首相を忖度(そんたく)し、国会で虚偽答弁を繰り返し、公文書を隠ぺい・廃棄するという考えられない事態が横行したのです。
追及の中で、昭恵氏の名前が書かれた交渉記録や決裁済文書が見つかり、財務省も虚偽答弁を認め、佐川氏らは処分されました。値引きの根拠とされた「新たなゴミ」というのも、同じ写真を使い回しした根拠のないものだったことが明らかになりました。しかし安倍首相や佐川氏を監督する立場だった麻生太郎副総理・財務相は居座りを続けました。佐川氏らも軽い処分を受けただけで、刑事裁判では起訴を免れています。国会での疑惑解明、首相らの責任追及を終わらせるわけにはいきません。
国会での徹底究明を
「森友」問題や「加計」問題で浮き彫りになった首相による「国政私物化」は、深まる一方の「桜」疑惑でますます深刻な様相を示しています。公文書である招待者名簿の廃棄問題や、国会で首相がまともに答えようとしない問題は、まさに「森友」問題の再現です。「森友」「加計」や「桜」疑惑を徹底追及し、安倍首相を退陣に追い込みましょう。