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2020年2月24日(月)

BS朝日「激論!クロスファイア」

志位委員長の発言

 日本共産党の志位和夫委員長は23日に放送されたBS朝日番組「激論!クロスファイア」に出演し、深刻な問題になっている新型コロナウイルス感染症への対策や「桜を見る会」疑惑とともに、野党連合政権づくりの合意にむけた努力、綱領改定の意義や特徴について、ジャーナリストの田原総一朗氏らの質問に答えながら、議論しました。


新型コロナウイルス対策

専門家の知恵集め、財政出動の抜本強化を

 冒頭、テーマになったのが新型コロナウイルス感染症の問題です。田原氏から、政府の感染対策について問われました。

 志位氏は、横浜港に停泊しているクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」では「感染者を増やしてしまったという事実があるわけですから、徹底的な検証が必要です」と指摘。同時に、専門家の英知の結集が必要だったのに政府の「新型コロナウイルス感染症対策専門家会議」の1回目の開催が2月16日だったとして、「あまりにも遅い」と批判すると、田原氏から遅れの理由を問われました。

 志位 政権の姿勢が表れていると思う。安倍さんの動静を見ると(専門家会議に)3分出て、退席している。専門家が集まって、みんなの意見を聞いて、知恵をしぼるのが総理の仕事でしょう。同日に開かれた政府の対策本部の会合に3人の大臣が欠席し、新年会などに出ていた。これも言語道断です。政府が本気でやる気があるのか。ここにクエスチョンマークがついている。この姿勢は改めてほしい。

 また志位氏は、政府の予備費(103億円)を含む総額153億円という緊急対策の予算規模が「あまりに小さ過ぎる」と指摘。今後の感染者の広がりや、重症者の対応に必要な体制をとるための支援が必要だとして、財政的な支援の抜本的な強化が必要だと強調しました。

「桜を見る会」疑惑

安倍首相はホテルの回答を書面で示し、国会に提出せよ

 話題は、「桜を見る会」疑惑に。田原氏に疑惑追及のきっかけを聞かれて、志位氏は、「しんぶん赤旗」が安倍政権下での参加者増加を取材する中で突き止め、田村智子副委員長・参院議員の参院予算委員会での追及で大問題となったとのべました。「いま将棋でいえば詰みの状態になっている」として、「桜を見る会」前夜祭で、野党議員の質問に「ANAインターコンチネンタルホテル東京」から「見積書や明細書は出さなかったケースはない。例外はない」と回答書が出されたことに言及しました。「そうなると安倍さんがうそをいったことになる。それを覆そうと思ったら安倍さんは書面で証拠を出すしかない。これができなかったら、政治資金規正法違反、公職選挙法違反になり、総理はもとより国会議員もやめなくてはいけない。そういう事態です」と語りました。

 「朝日」政治部の林尚行氏も「総理が答弁した内容が、本来一致しなければいけないホテル側の言い分と明らかに矛盾する異常事態です」と指摘しました。

 志位 矛盾しているわけです。ANAホテルは書面で回答している。安倍さんは口で言っているだけ。安倍さんがやましいところがないというなら、書面をホテルに求めて、きちんと国会に出しなさいと野党は要求しています。書面を出さなかったら、これは反論にならない。普通に考えて書面できちんと言っているものと、ただ口だけで言っているものと、どちらに説得力があるか。書面がある方に説得力があるわけですよ。

 林氏は、「志位さんがおっしゃったように、その二つのコメントを並べてどちらに理があるのか。公の場で吟味する作業は、これからもやれとなるはずです」と答えました。

 田原氏が、このもとで安倍内閣に対する不支持率が支持率を上回るという世論調査が出ていることに触れると、志位氏は「政権末期の様相に近づいてきています」と指摘。田原氏は「そうはいっても、もっと減ってもいいと思う」と語りかけると、志位氏は、「(内閣支持と答えている人も)これは好きで支持しているというよりも、他が見えないからというのもあると思います。野党が安倍政権に代わる野党連合政権の姿を見せることができれば、そしてその政権が実行する政策で国民の気持ちに沿うものが押し出すことができれば状況は変わると思います」と答えました。

安倍首相による反共デマ攻撃

野党一致して謝罪・撤回求める

 13日の衆院本会議で日本維新の会の議員の質問に答える形で、安倍首相が反共デマの答弁をしたことが話題になりました。田原氏は「安倍さんは、共産党がいまでも暴力で、ぶっ壊そうとしていると」と尋ねました。

 志位氏は、1950年当時、ソ連・中国による干渉で党が分裂していた時期に、一方の側が間違った行動をとり、その後、党を統一したさいに、誤りだったと否定したと紹介。「党の正規の方針として『暴力主義的破壊活動』の方針を取ったこともなければ、その行動をやったこともないとはっきり言っておきたい」と語り、次のように指摘しました。

 志位 重大なのは、これまで公安調査庁の長官が国会でこういう答弁をしたことはあります。しかし総理大臣が言ったのは初めてなんです。(公安調査庁の)調査自体が不当で、公安調査庁ができてから67年、ただの一回でも「破壊活動の証拠」が出てきたか。何もないですよ。

 時の総理大臣が公党に対して、暴力革命の党といった。これは安倍さんが初めてです。それだけ野党共闘に脅威を感じている。私は、もちろん断固抗議をしましたが、野党全体で抗議をしようと(なった)。ほかの野党も一緒になって抗議していただいた。野党一致して、総理に対して謝罪と撤回を求めています。

 田原 逆に言えば、それだけ安倍さんは追いつめられているんだ。

 志位 それだけ、野党共闘に脅威を感じているということです。

野党連合政権

現状はどうなっているのか、「閣内」か「閣外」か

 次いでテーマは野党連合政権に進みました。田原氏は、「共産党は綱領では民主連合政府とうたったが、2019年には野党連合政権とうたった。どこが違うんですか」と質問しました。

 志位氏は、綱領でいう民主連合政府は、日米安保条約について国民多数の合意で廃棄するなど、根本的な民主的な変革を実行する政府だと指摘。「野党連合政権は、それよりずっと手前にある、すぐに実行する緊急課題をやる政権として、この間、提案してきました」と紹介すると、田原氏が、「2015年の国民連合政府と、野党連合政権の違いはなんですか」と問いました。

 志位 若干違いがあります。15年に国民連合政府といったのは、この年の9月に、安保法制が強行されました。この法律ばかりは憲法違反ですから廃止しなければいけない。安保法制廃止の一点で国民連合政府をつくろうと提案し、選挙協力をよびかけました。ただ、政権の合意は、このときはできなかった。2016年2月、5野党の党首合意になり、選挙協力を行うことでまとまりましたから、私としては政府の主張は引き続きやるけれども、まず選挙協力をやろうということで、選挙協力を3回の国政選挙でやって、それなりの成果を上げたと思っています。ただ、ここで共闘をさらにバージョンアップさせようと思ったら、共産党も含めた政権の合意を野党で結んで、安倍政権に代わる政権構想を国民に示して、たたかうことがどうしても必要ではないか。

 田原氏から「野党連合政権ができても、共産党は政府に入らないということか」と聞かれて、志位氏は「『政府』から『政権』という言い方に変えたのは、『政府』というと、『閣内協力』に限定されるというイメージになる。『政権』というと、『閣内』の場合もあるし、『閣外』の場合もある。わが党は場合によっては、『閣外』でもいいし、必要ならば『閣内』にも入ります。それは状況に応じて、ベストの道を選んでいきますという立場で、『閣内』にこだわっているわけではないんです」と答えました。

 その上で、共産党が「野党連合政権」の実現に向けて、(1)安倍政権に代わる政権をともにつくる政治的合意、(2)「政権が実行する政策」=政権公約をつくるための政策協議を行う、(3)小選挙区での選挙協力――を「三位一体で進めたい」と提案していることについて、田原氏は「連合政権の政治的合意とはどういうことですか」と聞きました。

 志位 共産党も含めてともに政権をつくろうという合意です。これが確認されてこそ、政策(協議)も、その政権が実行する政策の話し合いになるじゃないですか。

 この間、立憲、国民、社民、れいわの4党の党首と会談し「安倍政権を倒して、政権を代え、立憲主義を取り戻す」ことでは一致した。政権をともにつくる政治的合意に向けてだいたい半歩前進している。もうちょっとだというのが、いまのところです。

 政策については基礎があります。(19年の)参院選のときに、「市民連合」のみなさんと13項目の政策合意を結んでいます。くらしの問題、民主主義の問題、平和の問題、原発ゼロ、辺野古新基地の中止など、この13項目をベースにすることができる。

 そして、13項目からエッセンスをピックアップしますと、三つある。一つは、憲法にもとづき、立憲主義、民主主義、平和主義を回復する。二つは、格差をただし、くらし・家計応援第一の政治に切り替える。三つは、多様性を尊重にし、個人の尊厳を大切にする政治をつくる。

 田原 多様性って何。

 志位 国民の中にあるさまざまな意見を大事にしていく、個人の尊厳を大切にする政治をつくろうということです。

 簡単にいうと、立憲主義、格差是正、多様性。これは安倍政権にどれもないものです。そういう方向で政治をチェンジしようという点では、だいたい合意はできています。

連合政権と党の独自の主張の関係は

政権に党独自の主張は持ち込まない

 そこで林氏から「共産党から閣僚を出した場合、その閣内で、閣僚としてその内閣の方針に閣議で従うかどうかという局面が出てくる」として、内閣と共産党の立場・見解が異なった場合の対応について質問が出されました。

 志位 政権の方針と、党の方針の問題をどうするか。例えば、日米安保条約について、党の方針としては、(この条約は)アメリカ従属の根源ですから、国民多数の合意で廃棄する、日米友好条約にしていく。これが私たちの大方針で、変わりません。ただこの点は他の野党と一致しませんし、政権に持ち込むことはしない。政権として、日米関係で改革すべき内容は、日米地位協定の改定、辺野古新基地建設をやめる。この二つをやっただけでも、大改革になります。アメリカいいなりから脱却する一歩になりますよ。

 それでは、野党連合政権は安保条約にどういう態度をとるのか。政権としては、日米安保を「継続・維持」する。閣僚をもし送った場合は、その政府の方針に従う。ただ、悪くする方向で日米の軍事的な協定をつくることは反対です。

 自衛隊についても、考え方は同じです。党としては、自衛隊は憲法9条と両立しない(と考えている)。しかし、自衛隊違憲論は、他の野党と一致しません。他方で、集団的自衛権行使容認の「閣議決定」は撤回する。そして安保法制は廃止する。

 田原 集団的自衛権の行使については、立憲も国民も反対してる。

 志位 そこは一致できるんです。だから、集団的自衛権の行使はやめる。つまり海外で武力行使する自衛隊ではなくなる。政権としてはそれをやればいい。2014年7月1日の集団的自衛権行使容認の「閣議決定」を撤回し、その前の自衛隊に対する憲法判断に戻るわけです。それは簡単に言えば、自衛隊は合憲とするけれども、集団的自衛権は認めない(ということです)。

 田原 つまり専守防衛ということだ。

 志位 政権としてはそれで対応する。私たちが、その政権に閣僚を送った場合に、閣僚として「自衛隊が違憲か、合憲か」と問われれば、閣僚としては当然「合憲だ」と答えます。ただ、違憲だという党の立場は変えません。

 次いで、田原氏は「自民党から政権奪取するために、選挙協力をどうするのか」と尋ねました。

 志位氏は、選挙協力の合意、とくに与野党が競り合っている小選挙区を中心に野党統一候補にするという合意があることを紹介。「ただ選挙協力をやる場合も、問題は政権合意ができるかどうか。政権合意ができた場合には選挙協力が最大限できる」と強調しました。

政策的な不一致点

各党に公式に説明し、懸念解消に努力する

 議論のテーマは、野党連合政権にむけた合意をつくるうえで、日本共産党と各野党の不一致点をどうするか、に進みました。

 志位氏は、野党間の政治的・政策的不一致点として、(1)日米安保条約、(2)自衛隊、(3)天皇の制度、(4)社会主義・共産主義――の四つの問題をあげて、次のように語りました。

 志位 立憲民主党の枝野幸男代表とは19日に党首会談をやりまして、不一致点について、共産党の考え方を今度は説明に行きたいと、私の方からお話ししたんです。みなさん、懸念もあるだろうし、心配もあるだろうから、「心配ないですよ」という話をしたいという話をしましたところ、枝野さんから「しっかりお話を聞かせていただきたい」ということになったので、また一歩すすめていけるんではないか。

 今後説明していくなかで、私は理解していただけると思いますが、不一致点を「こうやって処理できますよ」と安心していただけたら、今度は、一致点をさらにどう豊かにするか、という議論になる。

綱領一部改定

中国の覇権主義・人権侵害共産党の名に値しない

 田原氏が「さてここで一番聞きたい」と語ったのが、1月の第28回党大会で一部改定された綱領です。田原氏は「中国に対する共産党の見方も変えた」と質問しました。

 志位 これまでの綱領では中国について、「社会主義をめざす新しい探究を開始している国」だという規定だったんです。それには根拠がありまして、かつて毛沢東の時代に乱暴な干渉があったのですが、1998年に中国の側から「間違っていた」と認め、関係を正常化しました。そのとき彼らの「誠実さ、真剣さ」を評価して、こういう綱領の規定となりました。

 しかしその後、中国からいろんな問題が出てきた。東シナ海や南シナ海での覇権主義の行動。香港やウイグルでの人権侵害。覇権主義や人権侵害は、社会主義とはまったく無縁のものです。ですから、党大会での報告でも、私は、「中国の政権党は、社会主義、共産党と名乗っているが、その行動は社会主義とは無縁であり、共産党の名に値しない」とはっきり言って、こういう間違った方向には、厳しく批判すると表明しました。

 田原氏から、中国の姿勢の背景に何があるかを問われ、志位氏は、歴史の根があると指摘。56年の中国共産党の文献で、中国には大帝国の歴史があるとして大国主義を自戒しなければならないとするとともに、81年に「文化大革命」を総括した決定では、「封建的専制主義の害悪が克服できなかった」としていることを指摘。「大国主義と封建的専制主義、この二つの(歴史的)問題がある。この問題がいま深刻になっていると思います」と告発し、次のように語りました。

 志位 この10年来、中国は明らかに悪い方向に変わってしまった。ただ、私たちの批判は、日中両国の本当の平和・友好のために必要だという立場からのものです。

  中国という間違った共産主義があるなら、日本共産党という名前をやめることなんじゃないですか。

 志位 間違った道を歩んでいるのが中国であって、私たちの社会主義・共産主義こそ、本当の人間の自由をめざすものです。

 田原 党名は変えない。

 志位 変えない。人間を大事にする社会をつくっていきたい。


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