2020年2月26日(水)
最高裁 被爆者救済に背
3訴訟上告審 原爆症と認定せず
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原爆症の認定申請を却下された白内障などを患う被爆者が処分の取り消しを求めた名古屋、広島、福岡高裁の3訴訟の上告審判決が25日、最高裁判所第3小法廷でありました。宇賀克也裁判長は原爆症と認めた2件の高裁判決を破棄、残る1件の原告側の上告を棄却しました。3件全てで被爆者側の敗訴が確定しました。
被爆者援護法にもとづく原爆症の認定は、(1)原爆の放射線で病気になったこと(放射線起因性)(2)現在医療が必要な状態にあること(要医療性)―の二条件をみたす必要があり、要医療性について二審の判断が分かれていました。
判決を受け、参院議員会館で会見した原爆症認定訴訟全国弁護団連絡会団長の藤原精吾弁護士は、「要医療性」という制度の解釈により足切りをした判決だと指摘し、行政に追随した判決だと批判。「原爆症認定制度の抜本的見直しを政治の責任で行うよう求めていく」と語りました。
内藤淑子(としこ)さん(75、広島)は、「納得できず、心が折れました。本当に残念な判決です。国に訴えたいことがありますので頑張りたい」と語りました。
ノーモア・ヒバクシャ訴訟全国原告団、同弁護団連絡会、日本原水爆被害者団体協議会は最高裁判決について、「被爆者救済に背を向けたことは、唯一の被爆国の最高裁判所として恥ずべき態度である」と抗議声明を発表。会見後、厚労省に抗議しました。