2020年3月4日(水)
日銀の株購入 1日で1000億円超す
株価対策が新段階に
新型コロナウイルスの感染拡大で世界的に株価が下落する中、2日には、日本銀行が連日購入している12億円に加えて、1002億円の株価指数連動型上場投資信託(ETF)を購入したことがわかりました。1日の購入額1014億円は過去最高だった2016年12月の754億円を大きく上回っており、日銀マネーによる株価対策が新たな段階に入ったといえます。
|
実体経済の景気対策後手に
この間、日経平均株価は5営業日連続の下落で、下落幅はあわせて2336円に達し、リーマン・ショック以来の下落幅となりました。日銀は連日700億円規模のETF購入を行いましたが、下落に歯止めがかかりませんでした。
2日も午前中には先週末に比べて300円以上も下落する局面がありました。こうした中で、日本銀行はイギリスの国民投票で欧州連合(EU)離脱の結果が出た16年6月以来となる「総裁談話」を発表して、「適切な金融市場調節や資産買い入れの実施を通じて、潤沢な資金供給と金融市場の安定確保に努めていく」としました。ETFの1日の購入額を大幅に引き上げたのは、この談話に沿ったものです。
日銀マネーに期待した投資家の買い戻しにより、この日の株価は先週末を201円上回る結果となりました。
新型コロナウイルスをめぐっては、観光客の減少や部品供給の途絶、イベントの中止などによる影響にくわえて、学校の臨時休校による深刻な影響が出ていますが、こうした実体経済への政府の対策は後手に回っています。これまでに政府が決めた予備費を使ったコロナ対策の規模も150億円程度です。その一方で、株価対策のためには、1日だけで1000億円を投入するところには、安倍政権の「株価最優先」の姿勢が表れています。
しかし、このような日銀マネーによる株価対策は、一時的な株価の買い支えにはなっても、日本経済が抱える深刻な状況を打開することはできません。日経平均株価3日の終値は、前日終値から261円下落しました。
日銀が保有するETFが日本の株式時価総額に占める割合は、安倍政権以前には0・6%しかありませんでしたが、安倍政権によるなりふり構わぬ株価対策の結果、5・5%前後にもふくれあがりました。実体経済の停滞の中で、日銀マネーで株価を維持しようとすれば、こうした異常な状況がさらに深刻化することになるでしょう。
(垣内亮 日本共産党政策委員会)