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2020年3月10日(火)

主張

GDPの改定値

経済はいよいよ深刻な事態だ

 内閣府が発表した昨年10~12月期の国内総生産(GDP)の改定値は、物価上昇を除いた実質の経済成長率が2月発表の速報値より悪化しました。速報値では前期(7~9月期)に比べマイナス1・6%でしたが改定値はマイナス1・8%へ拡大しました。安倍晋三政権が昨年10月から強行した消費税率の10%への引き上げが家計も経済も直撃していることは明白です。新型コロナウイルスの感染拡大が経済を急激に悪化させており、日本経済は危険な局面を迎えています。消費税率を緊急に5%に減税するとともに、暮らしを応援する抜本的対策が喫緊の課題です。

速報値よりさらに悪化

 GDPの前期比マイナス1・8%は、これが1年間続くと仮定した年率換算で7・1%もの大幅な落ち込みです(速報値6・3%減)。マイナス成長は5四半期ぶりで、消費税増税が暮らしと日本経済の大打撃になったことを浮き彫りにしています。生活実感に近い名目GDPは前期比1・5%減(速報値1・2%減)、年率換算で5・8%減(同4・9%減)です。

 GDPの5割強を占める個人消費(民間最終消費支出)は実質で前期比2・8%の下落です(速報値2・9%減)。法人企業統計を反映させた民間企業の設備投資は4・6%のマイナス(同3・7%減)で、米中貿易紛争などの影響により輸出も0・1%減りました(速報値と同)。実質経済成長率の7・1%もの落ち込みは、消費税が8%に増税された2014年4~6月期の年率7・4%減に匹敵します。傷の深さは隠しようがありません。

 10~12月期のGDP改定値の落ち込み幅の拡大は、安倍晋三政権の経済失政によるものです。もともと安倍政権が進めてきた経済政策「アベノミクス」は、大企業や大資産家を潤しただけで、国民の所得も消費も増やさず、貧困と格差を拡大しました。そこへ消費税増税の打撃が加わり、経済を冷え込ませました。

 外国のマスメディアからも「日本の消費税の大失態」(米紙ウォール・ストリート・ジャーナル社説)、「最大の経済的愚策」(英誌『エコノミスト』)などと批判されました。暮らしと経済を立て直すには、直ちに「アベノミクス」を中止し、消費税率を5%に減税するしかありません。

 1月以降は新型コロナウイルスの感染拡大が、日本経済をいっそう落ち込ませています。GDP以外の経済指標もその深刻さを示しています。家計調査の1月の消費支出は前年同月比で3・9%のマイナスでした。内閣府の2月の景気ウォッチャー調査では、景気の現状を示す指数はリーマン・ショック時以来の低水準です。安倍政権の新型コロナウイルス対策が行き当たりばったりで、経済と暮らしの悪化に拍車をかけています。このままでは日本経済と国民の暮らしが破綻してしまいます。

失政ただちに改めよ

 消費税を減税し、新型コロナウイルスの感染拡大対策への思い切った財政措置を含めた暮らしを応援する経済政策は文字通り待ったなしです。日本経済と国民の暮らしが重大な事態に直面しているとき、それに見合った大規模な対策を急いで講じるべきです。その役割を果たす政治への切り替えが求められます。


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