日本共産党

2003年11月5日(水)「しんぶん赤旗」

消費税増税、改憲、2大政党制…

政界支配ねらう財界とは

日本の巨大企業がズラリ


 消費税増税や憲法改定を提言し、「マニフェスト」(政権公約)選挙で二大政党制を確立し企業献金で政界を思いのままに動かそうという財界。そもそも財界とはどういう団体なのか−−。(金子豊弘記者)


 財界活動の主眼は、大企業の利潤追求のため、税・財政、金融や企業法制など国家のもっている経済諸制度をいかに活用するかにあります。そのため、国の政治や外交、軍事にいたるまで発言力を行使してきました。

 財界総本山とよばれる日本経団連は、経団連(一九四六年八月発足)と日経連(四八年四月発足)が二〇〇二年五月に統合して誕生した団体です。

 その発足時の総会では、「経済、産業、社会労働分野など、企業活動にかかわる多様な問題に取り組む」と宣言。「政策提言能力と実行力をいっそう高める」と強調しました。〇三年五月三十一日現在で会員数は千五百八十四社・団体等にのぼっています。外資系企業七十九社を含む、日本を代表する企業千二百六十八社、製造業や金融・サービスなど主要な業界別全国団体百二十六団体、地方別経済団体四十七団体などから構成されています。

 日本経団連の事務局には、国際経済から税制・財政、エネルギー問題など約五十の委員会があり、「経済問題でカバーしていないものはない」(広報)といいます。年間五十本程度の政策提言をおこない政府に実現を迫っています。

 会長の奥田碩トヨタ自動車会長は、首相の諮問機関である経済財政諮問会議の議員で、財界の要望を直接、首相にぶつけ実行させています。

 日本経団連が大企業の利益を調整しながら政策提言するのにたいして、企業経営者個人が加盟する経済同友会は、企業人として出身企業や業界の利益にかかわらず「自由」に発言できる財界団体です。

 経済同友会は、一九四六年に当時の中堅企業人八十三人が結集して発足しました。現在の会員は千四百人です。みずからの考え方を基本にして各政党、行政当事者、労働団体などと政策実現へむけて意見交換をおこなっています。

 経済同友会は政府の経済関係組織へ多くの「人材」を出しています。日銀の福井俊彦総裁、日本郵政公社の生田正治総裁、中小企業金融公庫の水口弘一総裁はそれぞれ経済同友会の副代表幹事を務めていました。また、九五年から九九年まで代表幹事を務めた牛尾治朗ウシオ電機会長は現在、経済財政諮問会議の民間議員を務めています。

企業献金で政策を買収

 消費税率を18%に引き上げることを求めている日本経団連は、消費税を導入するときも、3%から5%へ引き上げるときも大きな役割を果たしました。当時、経団連は消費税を法人税減税の穴埋め財源としてワンセットで「税制改革」を提言し、政府に実行させました。

 今回の税率アップの狙いは、さらなる法人税率引き下げとともに、大企業の社会保険料負担の抑制・回避のためと位置付けています。「今後、社会保険料の値上げが続けば、雇用リストラの動きがますます進行」すると脅し、消費税増税で穴埋めすることを提言しています。

 労働者一人をリストラすれば九十万円の減税になる「産業再生法」も一九九九年に経団連が政府に提言し、実行させたものです。

 しかも日本経団連は、法人税減税、規制緩和、農業つぶしの農業「構造改革」など、自分の提言にそった政策を実行する政党には、九三年以来中止してきた「献金あっせん」を再開するとしています。まさに「カネで政策を買う」ものです。また野党にたいして「政府・与党への単なる批判勢力から脱皮し、いつでも政権にとって代われるだけの能力を備え」(〇三年一月の「奥田ビジョン」)ることを求め、財界本位の二大政党制確立を目指しています。

 「マニフェスト」(政権公約)選挙を提言してきた経済同友会は、日本経団連が提言しにくい改憲問題や単純小選挙区制導入を強く打ち出しています。


これが財界だ

日本経団連

 <会長>

 奥田 碩     トヨタ自動車会長

 <副会長>

 槙原 稔     三菱商事会長

 香西 昭夫    住友化学工業会長

 千速 晃     新日本製鉄会長

 西室 泰三    東芝会長

 樋口 公啓    東京海上火災保険相談役

 吉野 浩行    本田技研工業取締役相談役

 御手洗 冨士夫  キヤノン社長

 柴田 昌治    日本ガイシ会長

 三木 繁光    東京三菱銀行頭取

 宮原 賢次    住友商事会長

 庄山 悦彦    日立製作所社長

 西岡 喬     三菱重工業会長

 出井 伸之    ソニー会長兼グループCEO

 武田 國男    武田薬品工業会長

 和田 紀夫    日本電信電話社長

(以上15人)

 <評議員会議長>

 森下 洋一    松下電器産業会長

 <評議員会副議長>

 張 富士夫    トヨタ自動車社長

 秋草 直之    富士通会長

 鈴木 敏文    イトーヨーカ堂会長兼CEO

 高原 慶一朗   ユニ・チャーム会長

 櫻井 孝頴    第一生命保険会長

 平島 治     大成建設会長

 伊藤 源嗣    石川島播磨重工業社長 最高経営執行責任者

 池田 守男    資生堂社長

 勝俣 恒久   東京電力社長

(以上9人)

 <名誉会長>

 豊田 章一郎   トヨタ自動車取締役名誉会長

 今井 敬     新日本製鉄相談役名誉会長

 永野 健     三菱マテリアル名誉顧問

 根本 二郎    日本郵船名誉会長

(以上4人)

経済同友会

 <代表幹事>

 北城 恪太郎  (日本IBM会長)

 <副代表幹事>

 宮内 義彦   (オリックス取締役兼代表執行役会長)

 河野 栄子   (リクルート会長兼CEO)

 渡辺 正太郎   専務理事(花王元副社長)

 桜井 正光   (リコー社長)

 岩沙 弘道   (三井不動産社長)

 細谷 英二   (りそなホールディングス取締役兼代表執行役会長)

 井口 武雄   (三井住友海上火災保険会長兼CEO)

 氏家 純一   (野村ホールディングス会長)

 加賀見 俊夫  (オリエンタルランド社長)

 兼子 勲    (日本航空システム社長兼CEO)

 小島 順彦   (三菱商事副社長)

 斎藤 博明   (TAC社長)

 下村 満子   (健康事業総合財団〔東京顕微鏡院〕理事長)

 三國 陽夫   (三國事務所代表)

 (以上14人)

 日本経団連を代表する会長は、総会で選任され、任期は一期2年です。副会長は会長を補佐。会長・副会長会議は、月1回開かれ、日本経団連の重要な基本的事項を審議します。

 評議員会は、会長の諮問にこたえ、会長にたいして意見をのべることができます。名誉会長は、会長を退任したものの中から選ばれます。名誉会長は、会長の諮問にこたえ、意見をのべることができます。

 経済同友会の代表幹事は、同会を代表し、副代表幹事は代表幹事を補佐します。代表幹事の北城恪太郎氏は、米IBMの100%子会社である日本IBM会長です。副代表幹事には、企業の格付け会社である三國事務所の代表や、公認会計士などを育成するTACの社長らも加わっています。

【関連】


もどる
「戻る」ボタンが機能しない場合は、ブラウザの機能をご使用ください。

日本共産党ホームへ「しんぶん赤旗」へ


著作権 : 日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp