2020年4月1日(水)
労働者保護適用せず
高年法改定案成立 共産党は反対
倉林氏が追及
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高齢者に労働者としての権利が保障されない「雇用によらない働き方」を広げる高年齢者雇用安定法(高年法)等改定案が31日、参院本会議で可決し、成立しました。日本共産党は反対しました。
同日、参院厚生労働委員会で質疑に立った日本共産党の倉林明子議員は、人材サービス大手・アデコグループの調査で、企業が高年齢者を雇用するメリットについて、約5割が「人件費などのコストを抑えられる」と回答していると紹介。先進国を見ても、日本の高齢者の就業率はトップクラスだとして、「働かなければ生活できない年金水準の低さが最大の問題だ」と指摘しました。
その上で倉林氏は、高齢労働者の労災発生率を質問。厚労省の坂口卓労働基準局長は25~29歳と比較して、65~69歳の男性で2倍、女性で5倍だと回答しました。
倉林氏は、「高齢者の労災発生率がこれだけ高い。一層の配慮義務が必要だ」と強調しました。しかし、高年法改定案で盛り込まれた就業確保措置では、業務委託が可能となり、労働基準法、労働安全衛生法、最低賃金法など労働関係法規は適用除外されると批判。「リスクは自分でもち、低賃金という選択肢しか選べないことになる」とただすと、加藤勝信厚労相は「70歳までの就業機会確保のために選択できるしくみが必要と考えた」と語りました。
倉林氏は、「労働者のフリーランス化をさらに拡大する突破口になる危険がある。一般労働者にも拡大される可能性があることに多くの懸念が寄せられている」と指摘。安心して暮らせる最低保障年金制度をつくるとともに、働きたい労働者には、安全・安心できる雇用が守られる必要があるとして、「安全網のない高齢者の個人事業主化促進につながる法改定は断じて認められない」と語りました。