2020年4月3日(金)
スマホ個人情報収集も
コロナ対応 政府想定、本人同意なく
新型コロナウイルスの感染拡大防止を目的に政府は3月31日、携帯電話会社やIT(情報技術)企業に対し、携帯電話の位置情報や検索履歴などの統計データを提供するよう要請しました。さらに、必要となった場合に個人情報保護法第23条の例外規定を適用し、本人の同意を得ずに個人データの提供を要請することも想定しています。
政府は楽天、ヤフー、グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップルの大手IT企業やNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの携帯電話会社に提供を要請。各社が保有するスマートフォンの位置情報や検索履歴を、個人が特定されない統計情報として提出するよう求めています。外出自粛要請の実効性の検証や、今後の対策に活用するとしています。
政府は個人の特定につながる情報の提供は求めないとしています。しかし、政府の要請文には「今後必要となった場合」に、個人情報保護法第23条が定める例外規定の適用を「想定している」と明記し、個人情報の提供を求める可能性があると表明しました。個人データは原則的に本人の同意を得なければ第三者に提供できませんが、同法は▽人の生命、身体または財産の保護▽公衆衛生の向上、児童の健全な育成▽国等への協力―などの場合には、本人の同意を得ずに個人データを第三者に提供できるとしています。
新型コロナ対応で海外では、通信会社と政府が顧客のスマートフォンの位置情報を共有・追跡する動きが広がっています。ロイター(3月18日付)によると、中国や韓国、台湾ではスマートフォンの位置情報から陽性と診断された人が誰と接触したのかを追跡。ドイツやイタリア、オーストリアなどの欧州では市民が移動制限に従っているか監視するために携帯電話会社から位置情報の提供を受けています。提供されるデータは匿名に加工してありますが、プライバシーが侵害される恐れがあると懸念の声も広がっています。