2020年4月9日(木)
新型コロナ影響
倒産・廃業 43件
突然の解雇 どうしたら…
新型コロナウイルスの感染拡大と外出自粛要請の影響で企業の倒産・廃業が全国的に相次いでいます。帝国データバンクによると、新型コロナ関連の倒産は8日現在で43件にのぼります。飲食業や観光業が中心で、従業員の雇用や地域経済への影響も深刻です。(丹田智之)
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「突然の解雇だったので、どうしていいのか分かりません」
佐賀県武雄市の武雄センチュリーホテルを3月31日付で解雇された営業担当の女性従業員(50)は困惑しています。
存続困難に
同ホテルを運営する瑞穂商事(広島市)が破産申請の準備に入り、全従業員(約70人)が解雇されました。東京商工リサーチによると、関連会社が運営していた島根県内のスキー場が暖冬による雪不足で来場客数が減り、新型コロナウイルスの感染拡大でホテル・スキー場ともに売り上げが大幅に減少。資金繰りが悪化し、事業の存続が困難になったといいます。
この女性は30年以上にわたり同ホテルで勤務してきました。事業停止の前日(3月30日)に解雇通知書を手渡され、支配人から新型コロナウイルスの影響で会社の経営が厳しいと告げられました。昨年8月末の記録的大雨や日韓関係の悪化による影響もありましたが、新型コロナではこれまでに経験したことのない危機感があったといいます。
「3月に入って団体客のキャンセルが続いていました。歓送迎会など大人数の宴会も大半が中止になり、やむを得ない事情なので違約金なしで対応してきました。3月分の給与が支払われず、退職金や解雇に伴う手当も出さないといいます。これから再就職先を探さないといけないので、落ち込んでいる余裕もありません」
先行き不明
福岡県の原鶴温泉では、創業50年を超える旅館「咸生閣(かんせいかく)」が約2億円の負債を抱えて福岡地裁久留米支部に破産を申請しました。
原鶴温泉旅館協同組合の庄﨑茂事務局長は、外出自粛要請の影響で団体客のキャンセルが増え、予約もほとんど入らない状況が続いているといい「政府の緊急事態宣言で、これまで以上に経営が厳しくなるのではないか」と不安を募らせています。
先行きが見えない現状に「経営者の多くは資金繰りに困っています。融資を受けるしかありませんが、返済のあてもなく、頭を抱えています。政府は経済的支援を急いでほしい」と訴えています。