2020年4月10日(金)
新型コロナ 豪、雇用維持に8.6兆円
法案可決 「史上最大の経済的命綱」
オーストラリア議会は8日、新型コロナ対策として、減収となった企業の労働者の賃金を補償するために総額1300億豪ドル(約8兆5944億円)を充てる雇用維持法案を可決しました。フライデンバーグ財務相は「オーストラリア史上最大の経済的命綱だ」とキャンベラで記者団に語りました。(鎌塚由美)
同法は、3割減収となった企業の労働者を対象に、1人につき2週間あたり1500豪ドルを6カ月給付します。平均賃金の7割に相当する額で、1年以上雇用されている臨時労働者を含む、16歳以上の同国民が対象です。個人事業主も含まれ、600万人に給付される見通しです。
モリソン首相は3月30日、3200億豪ドルの経済対策の柱の一つとして雇用維持策を表明していました。
同氏は8日の下院で、雇用維持策をめぐる審議が「(政治的な)イデオロギーをめぐるものではない。オーストラリアの主権を守るためのものだ」と強調。市場経済や生活水準、セーフティーネット維持のために必要だと訴えました。また、新型コロナとのたたかいは「勝つためのたたかい」だとし、「対価や損失なしにはたたかえない」と述べました。
最大野党・労働党のアルバニーズ党首は、雇用維持策が1年未満の臨時労働者や外国人労働者を対象外にしていると指摘。こうした労働者も対象とする修正を主張する一方、与党案には賛成すると表明し、保守党政権がこれまでの立場を変えて財政出動に踏み出したことを「称賛する」と評価しました。