2020年4月12日(日)
労働者の未来に無責任
ロイヤルリムジン退職押しつけ
怒る運転手
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新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う業績悪化を理由に、グループ会社を含む約600人のタクシー運転手を退職させる方針を発表したロイヤルリムジン(東京都江東区)。労働者に怒りと不安が広がっています。
「家族を含めたら1800人の未来がかかっているのに社長として無責任だ」。グループ会社の目黒自動車交通で、26年働く男性(65)は11日、説明に来た金子健作社長に怒りをぶつけました。
金子社長はこの方針について雇用保険を受給できるようにするためだと繰り返し強弁しました。
「雇用保険だってもらえない人がいる。雇用を継続すべきだ」。目黒自動車交通の労働組合員からは多くの反論が上がりました。
一方、労組のない他のグループ会社で、仕方なく退職合意書へのサインに追い込まれた人も。
定時制(非正規)の運転手として別のグループ会社に約10年勤める男性(73)は、サインさせられた1人です。決して退職に納得しているわけではなく、今後に向けて不安を募らせています。「この年齢でほかの仕事が見つかるかどうか。年金だけで暮らしていけないから働き続けてきたんですが」
即時解雇の場合、労働基準法は使用者に、30日分以上の平均賃金を解雇予告手当として支払うよう義務付けています。しかし、会社側は「資金がないので払えない」と拒否したといいます。
自交総連目黒自動車交通労働組合に加入する男性(45)は、個人タクシーの独立開業をめざし、準備を進めていました。
開業許可を得るためには、タクシー会社への10年以上の勤務などが必要とされます。退職となった場合、社会保険が途切れ、勤務の継続を証明できずに許可を受けられない事態に直面することになります。
「突然、退職を迫るなんて、ふざけんなという思い。他のタクシー会社を探すにも今の状況では厳しいし、独立までの短期で受け入れてくれる会社など、なおさらあるわけがない」