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2020年4月14日(火)

タクシー会社ロイヤルリムジン コロナ口実に退職強要

国制度を活用し雇用守れ

自交総連が要求

 新型コロナウイルスの感染拡大を口実に、従業員600人全員を退職に追い込もうとしている東京都内のタクシー会社ロイヤルリムジングループに対し、グループ内の自交総連・目黒自動車交通労働組合(全労連)は、脱法的な退職強要を批判し、雇用を守るよう要求してたたかっています。(田代正則)


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(写真)金子社長に説明を求めるタクシー運転者たち=11日、東京都目黒区

 ロイヤルリムジン傘下のタクシー運転者たちは7日からネットや報道で「解雇」と流れてきたのをみて、はじめて事態を知りました。

 しかし、8日朝の点呼で何も言われず、「全員解雇らしい」「これからどうなる」と不安やうわさがひろがりました。昼食休憩で同僚から知らされた男性(72)は「大事なことを従業員に何も言わずに決めるなんて許せない」と強調します。

 11日、210人が働く目黒自動車交通での会社説明会で金子建作社長は、「解雇」という言葉を避け、「会社都合でやめていただく」と述べ、「退職合意書」にサインするよう指示。何の保証もなく「11月に営業を再開し、再雇用の声をかける」と言いました。

 男性(48)は、「『解雇』という言葉を、間違った形で報道させている。実態は、退職強要だ」と批判。目黒自交労組の漆川(しつかわ)麻夫書記長は、「雇用を守る努力もせず、突然、退職を言い出すのは認められない」と指摘します。

 ロイヤルリムジンの手法は、判例で確立した「整理解雇の4要件」((1)人員整理の必要性(2)解雇回避努力(3)人選の合理性(4)労働組合・労働者との協議)に反し、賃金30日分の解雇予告手当すら支払わずに放りだそうとする脱法的なものです。

 金子社長は、休業補償より退職して失業給付を受け取る方が有利だと言い訳しました。

 しかし、雇用期間が短く給付日数が少ない人や、65歳を超え毎月給付を受けられない人もいます。個人タクシー開業を目指す運転者は、10年以上の勤務歴などの条件があり、人生設計が壊されます。

 自交総連は、雇用調整助成金や、タクシー車両を休ませると点検費用などを削減できる期間限定特例休車を活用し、雇用を維持するよう要求しています。

 労働者の声に押された金子社長は、「運行継続が総意であれば切り替える。話を聞いて最終決断する」と述べ、15日に回答するとしました。

 日本共産党の宮本徹衆院議員は10日の厚生労働委員会で、ロイヤルリムジンが解雇回避努力をせず、30人以上離職する場合の「大量雇用変動の届出」もしていないと指摘し、「ルールなき解雇はだめだ」と追及しました。

 加藤勝信厚生労働相は「問題事案を把握したら指導する。まずは雇調金で雇用維持をはかることを説明していく」と答えています。


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