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2020年4月16日(木)

結束・協力 各国訴え

コロナ対策 ASEAN首脳会議

 【ハノイ=井上歩】東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国は14日、新型コロナウイルス感染症対策のための特別首脳会議を初のテレビ会議形式で開きました。加盟国首脳はそろって危機下の結束と協力が重要だと強調。首脳宣言を採択し、感染状況や対策の情報・経験共有などを通じ、共同の対応能力を強化していくことを確認しました。


 議長国ベトナムのグエン・スアン・フック首相は「暗く、困難な時ほど、団結、思いやりと協力の精神が輝く」と述べ、首脳会議開催の重要性を強調。感染拡大防止と市民の安全を最優先するとともに、生活・経済・社会への影響を緩和・克服するために共通の歩みをとるべきだと呼び掛けました。

 フィリピンのドゥテルテ大統領は「前例のない災厄で、社会・経済活動を最小限にし、国境を閉鎖する劇的な措置を余儀なくされた」が、「国際関係から抜け出すことは回答になりえない」と指摘。医薬品・装備の生産増加、物流と食料安全保障の確保、ワクチンなどの研究開発協力、将来の感染症対策の4点での協力を強調しました。

 シンガポールのリー・シェンロン首相は「人類が今世紀経験した最も深刻な健康危機であり、結束して反撃に出ることが決定的な意味を持つ」と指摘。情報共有や先進技術の活用、物流・貿易の維持が重要だとし、「国際協力への国民の信頼を取り戻す責任が指導者にはある」と強調しました。

 インドネシアのジョコ大統領も「このたたかいは勝つしかない。団結し、共同することが答えだ」と述べ、感染症対策の地域基準の作成を提案しました。

 首脳宣言は、医薬品・食品など必需品の物流維持で協力を進めることや、医療物資の備蓄制度と新型コロナ対応基金を設けることを確認。「警戒を緩めず、国際社会と緊密に協力して感染拡大を抑え、市民の命と生活を守り、経済・社会の安定を維持する」と決意を表明し、国民への透明な情報発信の重要性も強調しました。

 日中韓の首脳が加わったASEANプラス3首脳会議も同日、テレビ会議で開催されました。13カ国は、安全でだれもが利用できる抗ウイルス薬とワクチンの研究開発での協力などを盛り込んだ共同声明を採択。プラス3の枠組みでつくられているコメ備蓄や通貨基金の活用、13カ国共同での医療物資の備蓄を検討していくことを確認しました。

 議長国ベトナムの発表によると、会議に参加した各国首脳は、市民の健康と生活保護が最優先だと強調。移住労働者ら自国に滞在する他国民を相互に援助することも確認しました。

 約6億5000万人の人口を持つ東南アジア10カ国の感染者数は14日時点の累計で約2万1000人。900人を超える死者が出ており、現在はインドネシアでの感染・死者の急増が懸念されています。


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