2020年4月18日(土)
感染口実解雇は無効
ロイヤル社 運転手が申し立て
東京都内でタクシー事業を展開するロイヤルリムジンが、新型コロナウイルスの感染拡大を口実に運転手らに解雇を通告したのは、解雇権の乱用にあたり無効だとして、70代の男性運転手が東京地裁に地位確認などを求めて仮処分を申し立てました。申請は15日付。
ロイヤルリムジンは今月上旬、感染拡大で業績が悪化しているとして、グループ会社を含む約600人の労働者を解雇する方針を決定。雇用調整助成金制度を使って雇用を維持することも検討したといいますが、解雇し雇用保険(失業給付)を受け取れるようにしたほうが労働者にとって「メリットがある」などと説明しています。
男性は会社の説明会で、退職合意書にサインしなければ失業給付申請の書類をもらえないと言われサインさせられたことを強調。「あまりにも突然の一方的通告でひどすぎる。別の会社を含め約40年、タクシー運転手として頑張ってきたのに、こんな終わり方はない」と語っています。
労働契約法第16条は解雇について「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用(らんよう)したものとして、無効とする」と定めています。
男性の代理人の馬奈木厳太郎(まなぎ・いずたろう)弁護士は、「業績がどれだけ悪化したのか説明はなく、解雇回避へ努力したことも示されていない。失業給付を受けたほうが有利という根拠も示さず、極めて悪質です。これがまかり通ってあしき先例をつくらせるわけにはいかない」と話しています。