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2020年5月17日(日)

学習アプリ エラー続出

ベネッセ系 高校の半数利用

 全国の高校の半数が利用し、休校中の課題配信などに使っている学習アプリ「Classi」(クラッシー)がつながりません。Classiは13日に3度目のおわびを配信。高校生からは「Classiの利用をやめて代替サービスへの変更を」という署名も始まっています。(染矢ゆう子)

「利用やめて」高校生が署名

写真

(写真)静岡県内の高校生が撮影した、13日午前0時ごろのClassiの動作環境。すべて遅延し、そのうち7割は大幅に遅延していました

 Classiは、ベネッセホールディングスとソフトバンクの合弁会社Classiが運営しています。営業はベネッセが行い、「今の高校3年が大学入試に利用する調査書の一部として必須」と大々的に宣伝し、全国の高校生122万人が利用します。安倍晋三首相が全国一律休校を要請した翌日の2月28日、午前10時には「一部サービスを無償提供」というファクスを未導入の高校に送付。経済産業省がつくった学校休業対策のホームページ「学びを止めない未来の教室」でも無償提供を宣伝し、利用者を増やしていました。(4月13日に削除)

 Classiは、学習動画の配信や教員と生徒・保護者の連絡ができるシステムです。

 ところが、4月から通信エラーが発生。川崎市立川崎高校は4月15日に、Classiでの課題の配信をあきらめました。課題は郵送やホームページからのダウンロードに切り替え、代替ツールを検討中とホームページで保護者に伝えました。

 東京都内の私立高校教員は「数時間かけて研究し作成した課題をClassiで生徒に配信しようとした途端にデータが消える」と怒ります。課題を送るために半日ほどつぶれた日が10日以上も。ようやく送っても、生徒の答案を見ようとするたびに通信エラー状態になったり、画面が真っ白になったり。「時間の浪費だ」と。

生徒「有料なのに使えない」

先生「高校生のやる気失う」

 4月に高校からの指示で、スマートフォンにClassiのアプリをインストールした東京都内の私立高校1年のAさん(15)。

 今月11日からオンライン授業がスタート。午前9時、午後2時半のホームルームと、授業の始まる午前10時に教員の投稿を見たことの確認を求められますが、時間通りに見られたことはありません。40分遅れで見られた14日は「わりとつながった方」です。

 同校では授業動画の配信はClassiではなく、別のシステムを使います。

 Classiの利用料金は、保護者負担で年間3960円(税込み)。「使えないのにお金をとらないでほしい」とAさんは話します。

 都立高校生は都教委あてに「不具合が多く使いにくいClassiの利用をやめて代替サービスへの変更を」と求めるネット署名を始めました。「脆弱(ぜいじゃく)なサービスを半ば強制的に加入させておいていいのでしょうか」と主張。現在、119人が署名しています。

 13日にClassiは3度目のおわびを発出。接続できないのはデータを格納しているサーバーの容量が想定を超えたためとして、「弊社の想定の甘さが招いたこと」とおわびしました。

 先の教員はいいます。「『すべての高校生のご利用を』と言いながら、すべての高校生が利用したら困るものを売っていたということです。高校生のやる気を失い、教員の健康破壊を促進するようなシステムを売ることなどあってはなりません」

 Classiは、2021年度の入試で主体性評価が導入され、そのための学習記録を書き込むためのシステムでもあります。そのデータは大学入試に利用する「JAPAN eポートフォリオ」(JeP)と連携します。JePの運営を許可した文部科学省の担当者は「(不具合は)聞いていない」「ClassiとJePは別物で、ベネッセから報告を受ける立場になく、不備を行政指導する権限もない」といいます。

 先の教員はいいます。「生徒たちが1年生のときから書きためた記録が入っているので、Classiから脱却したくてもできません。パンクするようなシステムを使わないといけないような大学入試制度を、国はやめるべきです」


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