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2020年5月19日(火)

主張

GDPのマイナス

思い切った対策を打ち出す時

 内閣府が発表した2020年1~3月期の国内総生産(GDP)は、実質で前期(19年10~12月期)に比べ0・9%減、年率に換算して3・4%も落ち込みました。マイナス成長は、19年10月に消費税を10%に増税してから2四半期連続です。個人消費や輸出の落ち込みが大きく、消費税増税に加え、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が日本経済を直撃していることを示しています。4~6月期のGDPはさらに記録的な落ち込みとなる見込みです。検査・医療体制の拡充と合わせ、強力な経済対策を思い切って実行することが急がれます。

軒並み悪化の一途

 1~3月期のGDPを費目別にみると、GDPの5割強の個人消費はマイナス0・7%でした。外出自粛が広がる中で、外食や宿泊などの落ち込みが目立ちます。輸出は10~12月期の0・4%増からマイナス6・0%へと大幅逆転しました。民間住宅投資は10~12月期のマイナス2・5%に続くマイナス4・5%、民間企業設備投資はマイナス0・5%になり、公共投資は10~12月期の0・5%増からマイナス0・4%に逆転しました。ほとんどすべての費目で、総崩れの様相です。

 1~3月期の数字は、政府が緊急事態宣言を発令する前です。コロナによる経済悪化がより鮮明になる4~6月期のGDPは、さらに深刻な2桁の落ち込みになるとの見方が広がっています。

 GDPの2四半期連続の落ち込みは、国際的には「テクニカル・リセッション(技術的な景気後退)」とみなされます。安倍晋三政権が「戦後最長」の景気拡大だと宣伝してきた「アベノミクス」の破綻がいよいよ隠せなくなったことを示しています。国民に外出の自粛や休業を要請しながら、それと一体で補償をしてこなかった安倍政権の、後手後手で小出しの対策の責任も問われてきます。

 すでにGDP以外の経済指標でみても、内閣府の4月の景気ウォッチャー調査では、現状判断指数が3月に比べ6・3ポイント低下の7・9となり、2カ月連続で過去最悪を更新しました。内閣府は「極めて厳しい状況にある中で、さらに悪化している」との判断を示し、先行きについても「厳しさが増す」と見ています。民間の信用調査機関・帝国データバンクの調査でも、4月の倒産件数は8カ月連続で前年同月に比べて増え、小売業や建設業、宿泊業や飲食業などのサービス業で758件に上りました。

 労働者に対する「派遣切り」など雇用情勢の悪化も深刻です。今年3月期の企業決算での減益の発表も相次いでいます。

経済政策の王道を

 いま何より必要なのは、「外出自粛・休業要請と一体に補償」するとの原則に立って、苦境に立つ国民の暮らしを支えぬく政策に切り替えることです。安倍政権は近く20年度第2次補正予算案を決定します。補正予算案を国民が願う中身にするよう求めるとともにスピードが大切です。安倍政権は国民や野党の声を聞き、抜本的な補正予算案を編成すべきです。

 新型コロナの感染拡大による経済の悪化は、世界でも日本でも長期化が避けられません。当面の対策とともに、消費税減税を含めた抜本策こそが日本経済を立て直すための王道です。


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