2020年5月21日(木)
歯科医療崩壊の危機
患者・収入減で経営悪化
大阪府歯科保険医協会
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新型コロナの影響を受け、大阪府内のほんとんどの歯科医院で外来患者が減少し、保険診療報酬が減り、「歯科医療崩壊」の危機に直面していることが分かりました。大阪府歯科保険医協会の小澤力理事長、江原豊政策部長が20日、大阪市内で記者会見し、緊急アンケート調査の結果を発表しました。5月7日までに会員2833人に調査票をファクス。回答率21・5%。
それによると、4月の外来患者が前年同月比で「減った」が96・9%。5割以上減った医院が21・2%にのぼりました。診療時間や日数を減らしているがあわせて50・2%でした。患者数が激減し、4月の保険診療収入は前年同月比で「減った」が93・6%で、5割以上減った医院は16%。必要な公的支援(複数回答)は「損失への補償」67・4%、「人件費への補助」57・9%、「納税などの猶予措置」42・4%などでした。衛生材料の確保では、「足りていない」との回答がマスク53・6%、手指消毒剤60・8%、グローブ53・8%、フェイスシールド63・1%と軒並み不足していました。
小澤理事長らは、受診の手控えによる「健康悪化」を懸念し「慢性炎症である歯周病が重症化すれば、体の免疫機能が低下し、風邪や肺炎などの感染症にかかりやすくなる」と警鐘。一方、厚生労働省は緊急性がない治療の延期考慮を求めているものの、政府による給付金や助成金が不十分なうえ、歯科医療機関は休業要請の対象になっていないため、大阪府の休業要請支援金を受けることができないことを指摘。診療報酬は各診療月の2カ月後に医療機関に振り込まれるため、今後、経営環境が一気に悪化する可能性があるとして、一刻も早い経営支援の拡充と衛生材料の供給を求めました。