しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2020年5月22日(金)

コロナ危機から住民守る

公務公共拡充し「命の格差」解消を

自治労連委員長 桜井眞吾さんに聞く

 新型コロナウイルス感染拡大のもとで自治体労働者は、住民の命と暮らしを守るためさまざまな分野で連日奮闘しています。住民や職員の状況、「コロナ後」の自治体のあり方について、自治労連の桜井眞吾委員長に聞きました。(唐沢俊治)


写真

(写真)府へ緊急要請書を手渡す大阪自治労連・医療部会の人たち=4月17日、大阪府庁

 新型コロナウイルスの感染拡大を通じ、「構造改革」などによる住民サービス切り捨てや地域間格差の広がりが、住民の暮らしはもちろんのこと、「命の格差」にまでつながっていることを痛感しています。

 地域における病院は国からの十分な支援もなく統廃合が進められ、過酷な労働条件のもと医療従事者の確保も困難になっており、財政が厳しい自治体では特に顕著です。

 保健所も削減が続けられ、感染症対策を含めた公衆衛生行政がどんどん住民から遠ざけられてきました。当時の大阪府知事・市長だった橋下氏が反省せざるを得ないぐらいに削減してきた大阪などはその典型といえます。

国の支援は急務

写真

(写真)桜井眞吾さん

 また、自粛に伴う国からの補償が不十分なことから、各自治体でもさまざまな工夫が行われています。しかし、地方自治体への締め付けや地域間格差の広がりによって、多くの自治体が厳しい財政状況に追い込まれ、そのことが住民への暮らしや営業に対する補償の格差にもつながっています。

 これらのことが「命の格差」につながらないよう、住民本位の地方自治の確立、あらゆる格差の解消を追求しなければなりません。

 また病院や保健所だけでなく、保育所、介護、障害者施設、清掃や水道事業など多くの自治体・公務関連職場では、政府が主導してきた人員削減によって経験ある職員も不足しています。そんな中でも住民生活を支えようと、夜間や休日を含め連日奮闘しています。職員自身の健康不安も高まっており、住民に対する安全・安心のためにも国による人・財政の支援は急務です。

 これまでも大震災や大型台風の災害時に対応できないことが明らかになっていました。

 自治労連は、この間の各地における災害における教訓からも十分な災害体制を確立するための予算や人員の確保を求めてきました。今回の新型コロナにおける問題で改めて全国規模での拡充が求められます。

 公務公共職場で働く労働者の感染防止対策や、住民サービスを支えるためにも労働条件の改善を総務省や厚生労働省などに繰り返し求めてきました。兵庫県三田市で学校給食調理員の休業補償をはじめ、非正規雇用労働者の雇用や賃金・労働条件を守るためにも各職場で奮闘しています。

自治体変質ノー

 10万円の「特別定額給付金」の申請を口実に「マイナンバーカード」を促進しようとして、自治体窓口で大混乱を招いています。「緊急事態宣言」を機にした憲法改悪の議論や、規制緩和で大企業のもうけを支援する「スーパーシティ」法案(国家戦略特区法改定案)など、コロナ対策に乗じた“火事場泥棒”的なことは許せません。

 また、自治体労働者を削減し、地方自治そのものを変質させようとする「自治体戦略2040構想」もこの機に加速させる動きも出ています。公立・公的病院の統廃合計画の撤回をはじめ、住民に寄り添った公務公共の拡充こそ求められます。

 「地域住民の繁栄なくして、自治体労働者の幸福はない」という自治労連の原点を掲げて、住民の権利向上と、自治体労働者の労働条件の向上を一体にした運動をさらに進めていきます。


pageup