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2020年5月25日(月)

主張

「桜」で首相を告発

徹底解明求める声にこたえよ

 安倍晋三首相主催の「桜を見る会」の前日に都内のホテルで開かれた「前夜祭」で、参加した多数の有権者に飲食代を提供するなどした行為は違法だとして弁護士ら662人が、首相らを東京地検に刑事告発しました。「桜を見る会」では、税金を使った公的行事を首相が私物化した数々の疑惑が大問題になっています。しかし、安倍政権は名簿を廃棄したなどと開き直り、説明責任を全く果たしていません。今回の告発は真相解明を求める国民の声を改めて示したものです。安倍首相はこの声を真剣に受け止め、疑惑隠しの姿勢を根本から改めるべきです。

数々の違法性が浮き彫り

 弁護士や法学者らの告発(21日)は、2018年4月20日にホテルニューオータニの宴会場で、首相の後援会が地元・山口県の支援者ら約800人を集めて開いた宴会をめぐるものです。告発状によれば、最低でも1人1万1000円と推定される同ホテルの飲食代を、1人当たり5000円の会費しか徴収せず、差額6000円を参加者に提供したことは、公職選挙法違反の寄付行為にあたるとしています。また、前夜祭の収支が後援会の政治資金収支報告書に記載されていないことは、政治資金規正法違反だと指摘しています。検察当局は告発を受け、公正・厳正な捜査をすべきです。

 前夜祭は、「桜を見る会」と一体で13~19年まで毎年開催されてきました。費用や収支をめぐる不自然さは19年の国会からたびたび追及されましたが、首相は、会費は「ホテル側が設定した」ので問題ないと言い張り、報告書の未記載も、参加者が個人でホテルと契約したもので、後援会としての収支はないなどと正当化します。しかし、それを証明する明細書などはないと述べ、説得力はありません。今年2月、会場となったホテルの一つは、宴会主催者に見積書や請求明細書、領収書は発行しており、政治家でもこの原則は変えないと表明しました。首相の説明が虚偽であることは極めて濃厚です。

 前夜祭だけでなく、「桜を見る会」そのものの疑惑解明も進んでいません。12年末の第2次安倍政権発足以降、参加者と費用は年々膨れ上がるとともに、首相の地元の支持者や後援会員が多数招待され、特別に優遇されていた深刻な私物化の実態は浮き彫りになるばかりです。税金で賄われる行事で、後援会員を飲ませ食わせしたこと自体が、公選法違反の買収の疑いがあります。安倍政権が、招待者名簿は「廃棄した」などと説明を拒んでいることも、公文書管理法に反する重大な問題です。首相の推薦枠で詐欺的な悪徳商法を繰り返した加害者が招かれていたことなど疑惑は尽きません。「桜」問題をめぐる安倍首相の国会答弁は、追及されるたびにつじつまが合わなくなり、破綻があらわです。もう言い逃れは通用しません。

国民の不信は高まる

 「桜を見る会」疑惑は、「森友学園」「加計学園」疑惑に続き、安倍政権の国政私物化とモラル崩壊ぶりをはっきり示すものです。黒川弘務・前東京高検検事長の違法な定年延長・賭けマージャン問題をめぐる安倍政権の対応に国民の怒りは高まる一方です。新型コロナ対策でも不信は強まっています。国民の信頼を失っている安倍政権の姿勢が厳しく問われています。


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