2020年5月29日(金)
主張
第2次補正予算案
一刻も早く国民に支援届けよ
安倍晋三政権が新型コロナウイルス感染拡大の対策のため2020年度第2次補正予算案を決定しました。4月末に決まった第1次補正予算は事態の深刻さに全く見合っていませんでした。これに対する国民の批判の高まりと野党の国会論戦によって、第2次補正予算案では、医療、雇用、中小企業などへの支援策が大幅に拡充されました。国民世論の力が政治を動かした成果です。問われるのは一刻も早く国民の手に届けるための、スピードと実効性です。
さらなる改善が必要
第2次補正予算案の一般会計総額は約32兆円で、1次補正の25兆円余りを上回りました。医療では、コロナ対策のための「緊急包括支援交付金」を2兆2370億円計上しました。1次補正の1490億円からの大幅増です。企業が従業員に支払う休業手当の一部を補助する雇用調整助成金は日額上限を8330円から1万5000円に引き上げました。休業中に賃金を受け取れなかった人への給付金も創設しました。地方自治体への交付金は2兆円増額し、中小企業や個人事業主に対する家賃の支援も実現しました。学生への支援策は、対象が狭いという問題は残しながらも、盛り込まれました。財政支出に民間融資などを加えた総合的な事業規模は、100兆円程度になるとしています。
いずれも本来なら、3月に成立した20年度本予算を抜本的に組み替えたり、第1次補正予算で万全の措置をとるべき対策でした。大規模な対応策を出し渋り、後手後手の対応を続けた安倍政権の姿勢は大問題です。
2次補正でも改善が必要な点は少なくありません。第2波、第3波に備えた医療・検査体制の充実は引き続き重要な課題です。日本医師会は、新型コロナ対策の「有事の医療提供体制」とそれ以外の「平時の医療提供体制」を“車の両輪”として進めるために、医療・介護関係で7・5兆円規模の支援を求めています。授業料の半額免除など学生支援の拡充も切実な課題です。芸術関係者への支援策の規模も自粛に伴う損失を十分賄うには一層の増額が求められます。国民の要望を踏まえた第2次補正の徹底した審議が不可欠です。
安倍政権の小出しで遅すぎる対策が続いたため国民の暮らしと営業の打撃ははかりしれません。コロナの影響による企業の解雇や雇い止めは厚生労働省のまとめだけで1万人以上に上ります。企業の倒産や休業・廃業見通しも3万5000件に達します。1次補正で盛り込まれた1人10万円の給付金はほとんど届いていません。雇用調整助成金や持続化給付金の支給も遅れています。被害をこれ以上広げないために、スピードを上げることが必要です。せっかくの対策も届く前に暮らしと営業が破綻しては意味がありません。手続きの簡素化など、迅速な対応に知恵を絞るべきです。
従来の延長線でなく
新型コロナへの対応は、長期化が不可避です。それは20世紀初頭のスペインかぜなどの経験からも明らかです。
必要な時に必要な対策がとれるよう、従来の延長線でない発想が求められます。不要不急の軍事費に多額の予算を投じることの是非を含め、命と暮らしを守るため、政策の見直しが重要です。