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2020年6月2日(火)

ヤマハ英語教室 休講3カ月

補償ほぼなし 講師生活苦

“個人事業主とは名ばかり”労組交渉

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う政府の緊急事態宣言と休業要請の影響で収入が激減し、営業再開後も十分な補償がないまま苦しい生活が続いている人たちがいます。5月末まで約3カ月間の休講が続いたヤマハ英語教室の講師が本紙に実態を語りました。(丹田智之)


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(写真)毎月6割以上の休業補償を求めるヤマハ英語講師ユニオンの組合員ら(左手前は清水執行委員長)=5月27日

 「4月から無収入になり、食費や光熱費も負担に感じるようになりました。この先どうすればいいのか…」

 関西で講師歴10年の女性(51)は週4日、ヤマハと提携する楽器店で幼児や小学生に英語を教えています。運営会社のヤマハミュージックジャパン(本社、東京都港区)と委任契約を結ぶ個人事業主で、担当するレッスンの数や生徒数、出勤日数、経験年数に応じた額の謝礼(報酬)が支払われます。最低賃金の適用もなく、毎月の収入は約12万円。健康上の理由からダブルワークには不安があり、少ない収入ながらも続けてきたといいます。

 複数ある勤務先の教室は感染拡大の影響で2月27日から全て休講。会社から振り込まれたのは、2月の報酬の2割にあたる「見舞金」2万円だけでした。

再開も収入ゼロ

 6月になり再開しましたが、同月分の収入が銀行口座に振り込まれるのは7月末で、実質的に4カ月間は収入がゼロです。

 この女性は、政府の特別定額給付金(1人10万円)や社会福祉協議会の緊急小口資金を申請しました。ただ「いつ受け取ることができるのか、見通しがないので安心できません。7月末まで持ちこたえることができるだろうか」と不安を募らせています。

 こうした状況のもとで早急な支援を求めてきたのが、この女性も加入する労働組合「ヤマハ英語講師ユニオン」です。会社側は休講に伴い「収入減に対して支援を実施する」と表明しましたが、1回きりの見舞金の支給にとどまりました。同ユニオンは、労働者として毎月6割以上の休業補償を求めて会社に緊急要求書を提出(3月27日)しました。

 清水ひとみ執行委員長は「シングルマザーの組合員などから生活苦の深刻な実態が寄せられています。講師は休講中も生徒や保護者に連絡し、レッスン再開に向けた準備をしてきました。月額報酬2割の見舞金だけでは生活を維持することはできません。会社に重ねて休業補償を要請するとともに、国の制度の活用も含めて緊急事態としての抜本的な支援策を示してほしい」と訴えています。

直接雇用求める

 講師の生活を守ろうと同ユニオンの執行部は、日本共産党国会議員団にも相談。フリーランスを含む個人事業主らの運動や党国会議員団が繰り返し要望する中で、収入を給与所得や雑所得として申告していた人も持続化給付金(最大100万円)を受けられるようになる見通しです。

 同ユニオンは、講師の働き方の実態に合わせた雇用契約への変更を求めて会社側と交渉中です。清水執行委員長は、十分な休業補償がされない背景には不安定な働き方の問題があると指摘。「勤務地や勤務時間を指定され、会社のマニュアルに沿って指導しているので、委任契約の個人事業主とは名ばかりです。全講師の直接雇用化で、最低賃金や社会保険の適用など労働者としての権利を保障するよう求めていきたい」と意気込んでいます。

 ヤマハミュージックジャパンは本紙の取材に対し、休業補償など支援の検討状況について「回答を控えさせていただきます」とし、「講師の相談を受けるなど、できる限りのサポートをする」と述べました。


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