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2020年6月4日(木)

政権強硬 火に油

米国 軍投入方針に怒り拡大

各地で行動 南部で数万人デモ

 【ワシントン=池田晋】米中西部ミネソタ州での白人警官による黒人男性ジョージ・フロイドさん殺害に対する抗議は2日も全米で続き、フロイドさんの故郷の南部テキサス州ヒューストンでは数万人が行進しました。トランプ大統領が1日に示した軍の投入方針は、「火に油を注ぐもの」(米紙ニューヨーク・タイムズ)との声が噴出。ホワイトハウス前での平和的デモの強制排除で国民の怒りはさらに高まっています。


 排除が起きたのは1日夕のトランプ氏の演説直後、ホワイトハウスの北側に隣接するラファイエット広場でした。トランプ氏は「特別な場所に敬意を示しに行く」と演説を締めくくり、徒歩で広場に面するセント・ジョンズ教会へ向かいました。

 その際、広場にいた平和的なデモ参加者を警官らが閃光(せんこう)弾や催涙ガスを使って蹴散らし、トランプ氏の進路を確保。米メディアは、同行していたバー司法長官の直接指示だったと報じています。

 トランプ氏は同教会の前で聖書を掲げながら記念撮影し、保守派支持層にアピールしました。

 ただ、同教会の属す首都ワシントン教区担当のブディ司教は「彼は祈りも、フロイド氏の死を悼みもせず、国中の少数派が抱える苦悶(くもん)を受け止めもしなかった」と怒りを表明。「キリストの教えに背くメッセージの背景として、聖書とわが教区の教会が利用された」と批判しました。

 与党・共和党のサス上院議員も声明で、抗議行動は憲法上の権利であり、「記念撮影のために蹴散らすのは反対だ」と述べました。

 州知事が州兵でデモを制圧しなければ政府が軍を投入するとしたトランプ氏の力ずくの対処方針にも、懸念や批判が集まっています。野党・民主党指導部は国民に対する軍投入に反対を表明し、議会で阻止法案を出す見通し。ミネソタやニューヨークなど、民主党知事の州は、軍投入を拒否しています。

 デンプシー元統合参謀本部議長はツイッター上で、「米国は戦場でない。同胞市民は敵ではない」と懸念を示しています。


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