2020年6月24日(水)
新型コロナ対策
日本の農林水産関連支援
欧米よりも貧弱
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新型コロナウイルスの感染拡大による需要減少などへの対策として、1次補正予算で5448億円、2次補正予算で658億円の農林水産関連予算が盛り込まれました。
一連の対策・補正予算について江藤拓農水相は「成立した予算を活用し、農林漁業者の生産基盤を守り、国民の生活基盤を守るために、早期執行に全力で取り組んでいきたい」(19日の記者会見)と強調しています。大きな柱は、農産物の販売促進や「Go To キャンペーン」など。しかし、日本農業新聞の「農政モニター調査」(5月13日付報道)では、政府の対策について67・4%が「評価しない」と回答しています。
コロナ禍で、学校の一律休校による学校給食停止の長期化、飲食店の休業などで農産物の需要が失われました。1次、2次とも、その損失を直接補償する制度はありません。
2次補正予算で盛り込まれた「経営継続補助金」(200億円)も今後の販路開拓・拡大、設備投資などにかかった費用を補助するものです。農民連は「危機に陥っている経営と生活を守るべきだ」と直接支援を求めています。
価格下落防止
余剰農作物を市場から隔離し、価格下落を防ぐことが重要な課題になっています。外食など業務用需要が後退し、2019年産米の在庫が積みあがっています。20年産米も現状では平年作が想定されています。農水省に対し、農民連は「このままでは米価が暴落する。政府が買い上げて隔離するべきだ」と求めています。
欧州や米国では、農家への直接補償、買い上げが大規模に行われています。
アメリカでは、販売額が5%以上減った農家に、19年生産量の25%を対象に価格下落分を補償。上限は25万ドル(約2700万円)です。3200億円の追加予算で野菜、果物、乳製品、食肉を買い上げてフードバンクに供給。これとは別に、低所得者や休校中の児童への食事支援の財源に2兆7000億円を追加しています。
欧州連合は生産者1戸あたり最大1200万円の補償を加盟国に指示。価格安定のため、余剰乳製品・食肉を対象に、民間企業が市場から隔離のために保管する場合の経費を補助する制度を発動しました。
今すぐ救済を
日本共産党の紙智子参院議員は、和牛農家の粗収益が生産費を下回った際に差額の9割を補てんする制度(牛マルキン)での生産者負担金の免除、コロナ禍で売り上げの大幅減などで苦しむ卸業者、仲卸業者への支援などを要求。田村貴昭衆院議員は「きょうあすの生活に困っておられる生産者を今すぐ救済、支援する対策を」(5月12日)と繰り返し提起してきました。(内田達朗)