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2020年6月26日(金)

フリーランス拡大掲げる

全世代型検討会議が第2次中間報告

 政府の全世代型社会保障検討会議(議長・安倍晋三首相)は25日、フリーランスの「適正な拡大」などを掲げ、最低賃金引き上げへの慎重姿勢を示した第2次中間報告をまとめました。昨年12月の中間報告で打ち出した75歳以上の医療費2割負担の導入については、対象範囲の決定を年末の最終報告に先送りしつつ、方向性は堅持しました。

 “権利ゼロの働き方”だとして、発注者に対する立場の弱さが問題になったフリーランスをめぐっては、「適正な拡大が不可欠だ」と指摘。政府の実態調査(5月にまとめ)を踏まえ、契約書不交付や、取引条件の一方的変更、報酬支払いの遅延・減額が独占禁止法上、不適切であることなどを明確化したガイドラインを年度内に策定するとしました。

 医療では、75歳以上への2割負担導入の方向性を改めて確認。新型コロナウイルス感染拡大を受け、「感染症への対応の視点も含めて、質が高く効率的で持続可能な医療提供体制の整備」を掲げ、「地域医療構想調整会議における議論の活性化を図る」としました。

 「効率的」「持続可能」のうたい文句は、病院再編統合の議論でも用いられており、感染症対策を口実にさらなる再編統合を自治体に迫る恐れがあります。

 介護では、「テクノロジーの活用」「ビッグデータの整備」などを列挙。「テクノロジーの導入の効果を把握・分析し、不断に介護報酬や人員配置基準について見直しを図る」としました。政府の担当者は、報酬や配置基準の引き下げを否定しませんでした。

 最低賃金引き上げに関しては、新型コロナウイルス感染拡大の影響を理由に、「今は、官民挙げて雇用を守ることが最優先課題だ」と慎重な姿勢を示しました。

「権利ゼロの働き方」なくせ

笠井議員の話

写真

(写真)笠井議員

 全世代型社会保障検討会議の第2次中間報告のフリーランスに関する方針について、2月4日の衆院予算委員会で「雇用によらない働き方」の無権利性を告発した日本共産党の笠井亮衆院議員に話を聞きました。

 2月の質問では、当事者の協力もえて配達代行のウーバーイーツの事例を取り上げました。事故にあっても補償もないなど、「権利ゼロの働き方をなくすのは政治の責任だ」と迫り、首相も、こうした働き方が広がっていくことは「決していいとは思っていない」と述べ、保護のあり方についても「実態を把握し検討を進めていく」と答弁せざるをえなくなっていました。

 今回の報告では、その後、内閣官房を中心に実施された「フリーランス実態調査」を踏まえ、労災保険の特別加入制度の対象拡大の検討や、独占禁止法や労働関係法令などに基づく問題行為を明確化するための一覧性のあるガイドラインを年度内に策定することなどを盛り込んでいます。これらは遅きに失したとはいえ、当然の一歩を踏み出すものです。

 ただ、報告がフリーランスの「適正な拡大」を掲げ、相変わらず政府自身が「雇用によらない働き方」を広げようとしていることは大きな問題です。

 使い捨て労働をさらに増やしたり、働く人の権利を奪うようなやり方ではなく、どんな働き方でも8時間働けば普通に暮らせる社会を目指すべきです。


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