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2020年6月27日(土)

パーム油発電を中止

反対住民「大勝利」

京都・舞鶴 日立造船

 国内最大のパーム油発電所建設計画(京都府舞鶴市)をめぐり、建設運営を担う日立造船(大阪市)は「案件は消滅」として、計画の中止を決めました。同社への取材で分かりました。事業者の「舞鶴グリーンイニシアティブス合同会社」は解散の見込み。中止を訴え続けてきた住民は「大勝利」と喜んでいます。(小梶花恵)


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(写真)パーム油発電所の計画予定地=京都府舞鶴市(提供写真)

 この事業では4月に、合同会社へ出資するカナダAmp社の日本法人が「金融機関からの融資が得られなかった」として撤退。日立造船は新たな出資者を探していましたが、見つけられずに断念したものです。

今後取り組まず

 同社が中止を明らかにしたのは23日の株主総会でのこと。計画反対の署名活動をしてきた「舞鶴西地区の環境を考える会」代表の森本隆さん(47)は総会に出席。白木敏之常務は舞鶴市の計画だけでなく、今後はパーム油発電に取り組まない考えを示しました。日立造船はその理由について本紙の取材に、「今後、パーム油への投資が行われる見込みがないため」としています。

 森本さんと活動してきた「喜多地区環境保全委員会」代表の大西寛治さん(65)は「ほっとした」と声を弾ませました。

 計画は2015年、日立造船の重油火力発電所の跡地利用案として始まり、その後同市喜多地区にある京都府の土地に出力66メガワットのパーム油発電所を建設する計画になりました。

 パーム油発電所をめぐっては、近隣の京都府福知山市で稼働する出力1・76メガワット、舞鶴の41分の1の発電規模の発電所からの悪臭と騒音で住民が深刻な被害を受けています。それを知った喜多地区の住民が実施したアンケートで、9割以上が反対の意思を示していました。

 パーム油は東南アジアで栽培されるアブラヤシから生産されますが、広大な熱帯雨林を伐採して農場を開発するため環境への負荷が甚大です。日本政府はパーム油発電を再生可能エネルギーとして固定価格買取制度(FIT)の認定をしていますが、世界ではパーム油の使用をやめる動きが進んでいます。大西さんは「国がパーム油を再エネとしていることが問題」と指摘。計画の中止が国や他のパーム油発電計画へ波及することを期待しています。

地元の声聞かず

 この計画は舞鶴市も「雇用拡大」を理由に推進してきました。森本さんは市の姿勢について、「決めたことを押しつけ、住民と対話しない」と批判。大西さんも「国の環境基準を超えていることを科学的根拠で示したが、市や与党議員は何度訴えても調査しなかった」と振り返ります。

 市議会で計画に唯一反対してきた日本共産党の小杉悦子市議は「地元の声を聞かずに始めた事業で、住民の理解を得られるものではなかった。多々見良三市長は姿勢を改めるべきだ」と強調しています。


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