2020年7月11日(土)
原水爆禁止2020年世界大会成功へ
コロナ禍 核なき世界の展望示す
日本原水協事務局長 安井正和さんに聞く
原水爆禁止2020年世界大会が目前に迫りました。今大会は「被爆者とともに、核兵器のない平和で公正な世界を―人類と地球の未来のために」をテーマに8月2日=国際会議、6日=世界大会―広島デー、9日=同・長崎デーを中心にオンラインで開催されます。核兵器禁止をめぐる情勢と大会の意義や特徴について、原水爆禁止日本協議会(日本原水協)の安井正和事務局長に聞きました。
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被爆者の訴えは特別の意味もつ
新型コロナウイルスの世界的流行に人類が直面するもとで、新自由主義による格差と貧国の拡大、大国中心の力の秩序など、今日の世界が人間の命を守るという点でいかにぜい弱であるかが明らかになりました。「国の安全保障」ではなく、「人間の安全保障」の方向に世界を変えることが求められます。
今年は被爆75年です。被爆者の訴えは、危機に直面する世界において特別の意味をもっています。広島、長崎の被爆者が人類絶滅の脅威、核兵器使用による極限状況を体験し、その体験を通じて「人類と核兵器は共存できない」とのメッセージを発信し続け、世界を変えてきたからです。
大会では、サーロー節子さんをはじめ被爆者が訴えます。
核兵器禁止条約早期発効に向け
核保有国とりわけ安保理常任理事国の5カ国(米、英、ロ、仏、中)は人類の危機解決へリーダーシップを果たしていません。アメリカ、ロシア両大国が核兵器を振りかざし、「自国の安全」を最優先する姿勢をとっていることは重大です。
採択から3年を迎えた核兵器禁止条約の早期発効に向け、多くの非核国政府と市民社会は努力を続け、核固執勢力を追い詰めています。禁止条約は81カ国が署名し、批准国は39カ国になりました。条約発効に必要な50カ国まであと11で、発効は時間の問題です。
世界大会は、核兵器禁止条約を早期に発効させ、核保有国とその同盟国に対して、核不拡散条約(NPT)の核軍縮義務とNPT再検討会議の合意実行を迫る世論を築くために、国連、諸国政府、市民社会の新たな共同をつくる大会です。
政府代表として、核兵器廃絶の先頭に立つオーストリアのトーマス・ハイノッチ大使、非同盟運動のリーダー国のマレーシアのアミル・ハムザ・モハマド・ナシル国連代表部一等書記官が参加します。
国際会議のゲストとしてカトリック長崎の髙見三明大司教が発言。広島、長崎両市長のビデオメッセージ、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)のベアトリス・フィン事務局長、核戦争防止国際医師会議(IPPNW)のカルロス・ウマーニャ副議長も発言します。
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条約に参加する国に変える行動
コロナ禍で国民の命よりトランプ米政権を忖度(そんたく)する対米追随の安倍政権の異常さが浮き彫りになりました。
国民が窮地に立たされるもとで安倍政治に対する怒りが高まり、コロナ対策の前進などで政治を動かし、ジェンダー平等、軍事費削減を求める声と行動が広がっています。
「ヒバクシャ国際署名」は3月末で1184万人となり、日本政府に核兵器禁止条約の署名・批准を求める自治体決議は全自治体の26%(468決議)に広がりました。東京都知事選挙は25小選挙区すべてで「市民と野党の共闘」がつくられ、4都議補選で野党共闘候補が実現しました。
世界大会は、こうした共同を前進させ、被爆国であり戦争と武力放棄の憲法を持つ日本にふさわしく、禁止条約発効の先頭に立つ国に変える行動に踏み出す大会ともなります。
市民連合の中野晃一さん(ビデオメッセージ)、フォトジャーナリストの安田菜津紀さん、環境活動家の武本匡弘さん、原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟(原自連)の吉原毅会長が発言します。
「平和の波」行動 世界大会視聴を
世界大会は、草の根運動と連帯して行われます。8月6日午前8時から30分間、世界各地で取り組まれる「平和の波」開始行動として、「日本政府は核兵器禁止条約に参加を」の横断幕やプラスターを掲げてスタンディング行動に取り組みましょう。パンフ『コロナ禍のもとで考えよう 核兵器・地球・私たちの未来』を多くの人々に普及しましょう。
オンライン世界大会は、被爆75年の大会を視聴できるまたとない機会です。ユーチューブのライブ視聴会を計画しましょう。
コロナ禍の核なき世界への展望を示す原水爆禁止世界大会を大きく成功させましょう。