2020年7月16日(木)
コロナ禍でも歩み止めず
今年の国民平和大行進
被爆75年、核兵器禁止条約の採択から3年。コロナ禍でも、核兵器のない平和な世界を目指し、国民平和大行進が取り組まれています。
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例年なら、「平和行進で~す。核兵器のない世界へ1歩でも2歩でもご一緒に歩きましょう」と呼びかけ、アピールしながら歩きますが、様相がコロナ禍で一変。マスクをしてのスタンディングで「ヒバクシャ国際署名」を呼びかけるなどの工夫が行われています。
“密”を避けるために幅広く呼び掛けることは控えていますが、国民平和大行進への期待は大きく、「スタンディングならできる」と多くの人が参加しています。
兵庫県の県内通し行進者の1人の男性(68)は、禁止条約が採択された3年前から県内を歩くようになりました。「核兵器廃絶の流れは世界に広がっています。日本政府は禁止条約に参加する役割を発揮するべきです」と強調し、「国民平和大行進が63年間続けられるなかで、核兵器廃絶の運動が世界の世論を動かし、歴史的な運動となっていることを誇りに思う」と語りました。
民医連に加盟する病院職員の男性(35)は、「コロナ禍で、安倍政権のダメっぷりがはっきりしました。目の前の人を助けるのが私たち医療従事者です。患者さんが安心して病院にかかれるよう、核兵器や武器に使う予算を、人の命を救うために使ってほしい」。
3人の子どもを持つ母親(39)は「環境と核兵器、平和な未来を次世代に送る責任を実感しています。環境破壊により、毎年どこかで災害が発生し、コロナも世界中に感染しています。SDGs(持続可能な開発目標)の実現へ、核兵器をつくっている場合ではありません。避難所が設置されてもジェンダー視点がなく不満を持っています。誰もが安心して暮らせる平和な世界を子どもに残したい」と語ります。
阪急逆瀬川駅前のスタンディングから宝塚市役所まで歩いた女性(73)は、草の根の地域で取り組まれる平和行進について、「一つ一つの行動は少人数だけど、そこにロマンがあります。途絶えさせないことが大事です」と話します。「コロナで自分の国のことだけを考えて、対立するのではなく、命を守ることがどういうことなのかを皆考えたのではないでしょうか。武器や核兵器をなくし、世界の医療が足りていない国にも助けてあげられるようになるといいですね」と語りました。(加來恵子)