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2020年7月30日(木)

「黒い雨」裁判 全面勝訴

広島地裁 84人全員を被爆者認定

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(写真)広島地裁前で掲げられた「全面勝訴」の幕に、喜びの声を上げる原告や支援者ら=29日、広島市

 広島への原爆投下直後に降った放射性物質を含む「黒い雨」を浴びたのに国の援護対象外とされた地域の84人が、広島県と広島市に被爆者健康手帳などの交付却下処分の取り消しなどを求めている「黒い雨」訴訟の判決が29日、広島地裁でありました。高島義行裁判長は、原告全員の交付却下処分の取り消しと、被爆者健康手帳の交付を命じるなど、原告全員の請求を認める判決を出しました。

 2015年に広島地裁に提訴した裁判は、5年に及ぶ間に16人もの原告が亡くなっています。裁判所前に「全面勝訴」の幕が掲げられると、雨が降る中、待ち受けていた原告や多くの支援者らが拍手し、「やったー」と喜びの声を上げました。

 高島裁判長は、「黒い雨」は国が定める大雨地域にとどまらず、「より広範囲に降った事実を確実に認められることができる」とし原告全員が「黒い雨」に暴露したと認定。その上で、放射性微粒子を含む「黒い雨」を直接浴びたり、「黒い雨」が付着した物に接するなどの外部被ばくに加え、放射性微粒子を含む「黒い雨」が混入した井戸水などを飲用したり、「黒い雨」が付着した食物を摂取するなどの内部被ばくを想定できると述べ、原告全員が被爆者援護法1条3号の「身体に原子爆弾の放射能の影響を受けるような事情の下にあった者」に該当すると認めました。

 原告の砂池貢さん(88)は「よかった。長いこと掛かったが、あきらめずたたかってきて本当によかった」。本毛稔さん(80)も「大雨地域限定に納得いかず、陳述でも手製の地図などで訴えてきた。一緒にたたかってきた副団長の松本正行さん(故人)と一緒に勝訴を聞きたかった」と話しました。


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