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2020年8月3日(月)

主張

GAFAの高収益

コロナ下で広がる格差ただせ

 米下院の公聴会でIT(情報技術)大手4社のトップが厳しい追及を受けました。反トラスト法(独占禁止法)に基づく調査の一環です。新型コロナウイルス危機の中、独占的な地位を使って巨額の利益をあげる4社に米社会は批判の目を向けています。コロナ下で広がる格差を是正することが世界的に求められます。

経済急落のなか利益倍増

 頭文字をとってGAFAと呼ばれる4社の4~6月期決算は、アマゾン、アップル、フェイスブックが前年同期比で増収増益です。減益だったグーグルも70億ドル(約7350億円)の利益をあげ、4社の純利益の合計は286億ドル(約3兆円)にのぼります。アマゾンとフェイスブックの純利益は倍増しました。4~6月期の米国の国内総生産(GDP)が前期比年率換算で32%減と戦後最大の落ち込みになる一方、GAFAは異常な高収益です。

 コロナ危機で人同士の接触を控えざるをえなくなり、インターネット通販やテレワーク関連の売り上げが増えたことがGAFAに追い風となりました。決定的な要因は、電子商取引やソーシャルメディアなどで4社が高い占有率で市場を支配していることです。公聴会では議員がGAFAの市場独占を強く批判し、「分割が必要だ」と公正な競争環境の整備に向けた規制強化を求めました。

 IT大手がインターネットを使って事業を展開する業態では他企業が後から参入することが難しく一握りの企業が市場を牛耳ることになりがちです。ネット通販事業では出店した中小業者に対する不公正な取引の強要も報告されています。圧倒的に優越的な地位を乱用した横暴は規制しなければなりません。

 IT企業への課税が現行税制の抜け穴となっていることもGAFAのぼろもうけを助長しています。GAFAはインターネットを活用して世界で事業を展開しています。進出先に支店や工場を置かないことが多く、「物理的拠点」を持たないとの理由で、海外であげた収益への課税を免れています。

 コロナ危機で世界経済が悪化する中、GAFAの経営者のもうけは桁違いです。米国の政策研究所などの調査によると、3月18日から6月17日の3カ月間、アマゾンの最高経営責任者(CEO)、ジェフ・ベゾス氏の資産は1130億ドル(約12兆円)から1568億ドルに1・4倍、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOの資産は547億ドルから868億ドルに1・6倍と急増しました。

 一方、国連人権理事会に提出された報告書によると、コロナ危機によって世界で1億7600万人以上が極度の貧困に追い込まれています。格差是正は待ったなしの課題です。そのためには巨大IT企業が暴利をむさぼる仕組みに規制をかけることが欠かせません。

公正な社会へ国際協力を

 経済協力開発機構(OECD)と20カ国・地域(G20)はデジタル課税の導入に向けてルールづくりに取り組んでいます。富裕税や金融取引税を求める声も世界で高まっています。コロナ危機は大企業の利潤追求をすべてに優先させる新自由主義の破綻を明るみに出しました。大企業、富裕層への課税強化をはじめ、公正な社会の建設に向けた国際協力が急務です。


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