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2020年8月4日(火)

主張

企業の倒産・休廃業

政府の責任で対策を講じよ

 企業の倒産が増加しています。休廃業や解散に追い込まれる企業も大幅に増える可能性が指摘されています。その圧倒的多数は中小企業です。経営者の高齢化や後継者難で事業継続が困難だったところに、新型コロナウイルスの感染拡大による業績悪化が追い打ちとなっているケースが少なくありません。政府の責任で、中小企業の経営と、働く人の雇用を守る対策を取らせることが急がれます。

高齢と後継者難が重なり

 民間の信用調査会社・東京商工リサーチの調査では、2020年上半期(1~6月)の全国の企業倒産件数(負債額1000万円以上)は、4001件と11年ぶりに前年同期を上回りました。このままでは年間1万件を超えるのではないかともみられています。

 コロナ関連倒産だけで見ると、3日時点で2月からの累計で385件に達しました。7月はやや減少したものの、感染が急拡大し、各地で休業要請が再び出されています。これまで何とかしのいできた企業が、耐えることができなくなる危険が高まっています。

 倒産だけでなく、休廃業・解散の増加も危惧されています。東京商工リサーチの見込みでは19年の4万3348件を大きく超え、20年は5万件を突破すると報じられています(「東京」7月26日付など)。観光客の激減などで飲食業や宿泊業を中心に営業をあきらめた例が相次いでいるといわれます。

 もともと中小企業では、経営者の高齢化と後継者難という構造的な問題がありました。東京商工リサーチの調査では、20年上半期の「後継者難」を理由にした倒産は194件で、前年同期の約1・8倍に上ります。集計を開始した13年以降、最多を記録しました。「後継者難倒産」のうち社長らの「死亡」が78件、「体調不良」が69件と多くを占めます。

 経営者が70歳を超えても後継者が決まっていない中小企業は、かなりの数に上るとされており、問題は深刻です。

 コロナによる経営のかつてない苦境は、未来をいっそう見えにくくし、後継者が生まれにくい状況に拍車をかけています。事態の変化に合わせて設備の更新などをしたくても、売り上げがなければ実行できません。やがて返済が必要になる融資などの制度だけでは、企業の存続に限界があります。

 持続化給付金や家賃支援給付金のさらなる改善・拡充と支給の迅速化が強く求められます。感染再拡大の下で、徹底した補償とセットによる自粛要請がいよいよ不可欠です。豪雨被災地での公的支援はとりわけ切実です。

地域経済にとって大問題

 中小企業・小規模事業者は国内企業の99%を占め、そこで働く人は雇用者全体の約7割です。企業の倒産や休廃業・解散は、経営者だけでなく、そこで働く人、取引業者などにとって死活問題です。企業が根を下ろしてきた地域の経済にも大きな影響を与えます。中小業者や働く人を苦境から救うのは政治の大きな責任です。内需主導で日本経済を再生させるうえでも極めて重要な課題です。

 安倍晋三政権は、消費税の度重なる増税で中小業者を痛めつけてきました。中小業者への国の予算も削減してきました。この冷たい政治を大本から変えることが急務になっています。


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