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2020年8月10日(月)

原水爆禁止2020年世界大会長崎デー

人類と地球の未来のために

 オンラインで9日開かれた原水爆禁止2020年世界大会長崎デー。政府代表のメキシコのメルバ・プリーア駐日大使、マレーシア国連大使のサイード・モハマド・ハスリンの両氏の発言と、第1セッション「核兵器のない世界への共同」での国際平和ビューロー(IPB)のフィリップ・ジェニングズ氏、環境活動家の武本匡弘氏、第2セッション「日本と世界、草の根の運動の交流」での「ヒバクシャ国際署名」をすすめる長崎県民の会共同代表の田中重光氏の発言を紹介します。


完全廃絶は倫理的義務

メキシコ駐日大使 メルバ・プリーアさん

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(写真)メルバ・プリーアさん

 核兵器はその破壊力、罪のない民間人への無差別な波及、健康への有害な影響、人類の存続そのものを脅かす規模があまりにも大きいため、メキシコは核兵器を完全に廃絶するためあらゆる努力を尽くすよう国際社会に呼び掛けてきました。

 一部の国による核兵器の保有が拡散の原因であり、第2次世界大戦後、国際社会が75年間にわたり築いてきた国際協定の目的と精神に反しています。

 ラテンアメリカ・カリブ海地域は、核軍備撤廃の意識を高める上で主導的な役割を果たし、同地域の核兵器を禁止する「トラテロルコ条約」発効につながりました。メキシコは人口密集地域で初の非核兵器地帯に属し、四つの非核兵器地帯創設に寄与してきました。

 メキシコは核兵器禁止条約の採択を歓迎します。同条約は核不拡散条約(NPT)第6条に規定されている義務と合致しており、NPTを補強することになります。

 核兵器を完全に廃絶することは、倫理的義務です。「持続可能な開発目標」(SDGs)を達成するための資金を増やす必要に迫られており、核兵器の維持とその最新鋭化のためにばく大な財源を割り当て続けることは、道徳に反することになります。

核兵器国は交渉履行を

マレーシア国連大使 サイード・モハマド・ハスリンさん

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(写真)サイード・モハマド・ハスリンさん

 広島、長崎の壊滅的な原爆投下から75年、地球上の誰一人も原爆による残酷でおぞましい悲劇を再び経験することを許してはなりません。核兵器が存在し続けることは人類に対する重大な脅威です。その使用や威嚇に対する唯一の解決は廃絶しかありません。

 国際社会は核兵器のない世界の達成を長年、追求してきました。それは1946年の国連総会第1号決議の採択が証明しています。核軍備は削減されたとはいえ、今でも約1万3500発が存在します。核兵器に依存を続け、最新鋭化をはかることで、人類を生存の脅威にさらし、その脅威はかつてなく重大になっています。

 今年は核不拡散条約(NPT)の発効から50年、無期限延長から25年です。NPTは世界的な核軍縮・不拡散体制の要となってきました。核兵器国は第6条の定める核軍備撤廃の交渉を行う義務を履行せねばなりません。

 マレーシアはNPT発効50年を記念して核軍備撤廃を強く主張してきた17カ国の共同声明を主導しました。次回NPT再検討会議が条約の三つの柱(不拡散、平和利用、軍縮義務)について議論と交渉を尽くすよう主要委員会Iの議長として役割を果たします。

世界平和へ対話こそ柱

国際平和ビューロー(IPB)共同会長 フィリップ・ジェニングズさん

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(写真)フィリップ・ジェニングズさん

 国際平和ビューローは今年、全世界で1兆9000億ドルが軍備に使われていることを明らかにしました。核兵器だけでも750億ドルを投資しています。「軍事費反対キャンペーン」で、“軍備ではなく医療に投資を”と呼び掛けました。

 コロナ危機で優先課題の間違いや備え不足が浮き彫りになりました。世界の政策をリセットしなければなりません。今こそ世界を新たに作り直す時です。私たちは世界と市民に今のままの世界を受け入れるのではなく、人間と地球を中心とした政治や経済、社会に変えるためにたたかおうと呼び掛けました。

 世界を新しく作り直すには、平和の柱が必要です。核兵器禁止条約を実現する柱、軍事費を減らし、戦争の惨禍を取り除き、世界平和を目指す新しい対話の柱です。

 新しい世代は街頭に出て、気候危機とたたかい、人種差別に対する怒りを示しました。今こそ同じエネルギーを平和のために向ける必要があります。

平和と地球環境守ろう

環境活動家 武本匡弘さん

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(写真)武本匡弘さん

 ダイビング歴約40年ですが、最初の20年は生物多様性のあるすばらしい海が地球のどこでも見られました。ところが後半20年はサンゴの白化現象が地球全体で起きています。気候変動が主な原因といわれます。地球の海は砂漠化するのではないかと懸念されます。

 生活や経済活動で出る二酸化炭素が、地球の気候を変えていますが、それ以外にも大変な問題があります。軍事行動は、最も激しく環境を破壊します。沖縄・辺野古など基地建設により環境が激しく破壊されます。辺野古のサンゴは白化し、がれき化しています。軍事訓練でも、激しい量の二酸化炭素が排出されます。人間も環境も一瞬にして破壊するのが核兵器であることを忘れてはいけません。

 世界中で気候危機に立ち向かう運動が広がっています。人類が直面している気候危機と核兵器廃絶の課題は、平和と地球環境を守る人たちとの連帯が求められています。ともに声を上げ続けることが大切です。

共同広げ県民過半数へ

「ヒバクシャ国際署名」をすすめる長崎 県民の会共同代表(日本被団協代表委員) 田中重光さん

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(写真)活動報告する田中重光さん(中央)

 2016年に被爆者が最後の力を振り絞って、核兵器をなくす条約をつくるよう求めるヒバクシャ国際署名を呼びかけました。

 長崎でも被爆県として責任を果たしていこうと、被爆者5団体が呼びかけ人になって記者会見を開き、長崎で平和運動をしているいろんな団体に呼びかけをしました。

 その年には、米国のオバマ大統領(当時)が広島に来るということで、この機会に署名をスタートしようと5月27日に長崎市内で出発式をしました。

 9月26日には「長崎県民の会」の発足式を開き、それから毎月26日を統一行動日として、長崎市内で署名活動をしてきました。

 2017年7月7日に国連で核兵器禁止条約が採択され、心から喜びました。署名は、長崎県の人口の約半分となる50万筆を目標に取り組んできました。現在、48万4000筆です。署名提出の締め切りまであと少しです。目標成功のため、被爆者はみなさんとともに頑張ります。


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