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2020年8月19日(水)

夫の自死原因 国はなぜ隠す

近畿財務局元職員の妻陳述

森友問題 情報開示めぐる訴訟

 森友学園問題をめぐり、公文書の改ざんを強制された後に自殺した財務省近畿財務局(近財)元職員の妻が、夫の公務災害認定に関する個人情報の開示を国が1年延期したのは違法だとして開示決定を求めて国を訴えた訴訟の第1回口頭弁論が18日、大阪地裁でありました。原告の赤木雅子さんが出廷し、「夫の自死の原因や経緯を知りたい。国はどうして隠そうとするのか」と意見陳述しました。国は争う姿勢を示しました。(安川崇)


写真

(写真)第1回口頭弁論の後、記者会見する赤木雅子さん。改ざん前の故・俊夫さんの笑顔の写真を置き、「普段はこういう(表情をする)人だったので見てほしかった」=18日、大阪市内

“核心から逃げている”

 夫の俊夫さん=当時(54)=は2017年2月以降に近財で改ざんを実行させられた後、うつ病を発症し、翌年3月に自宅で自殺しました。

 訴状によると雅子さんは、夫の公務災害認定後の19年9月、人事院に夫の個人情報の開示を請求。約70ページが開示されましたが大部分が黒塗りでした。

 そこで20年4月に近財に開示請求したところ、一部を除いて21年5月まで開示決定期限を延長すると通知を受けました。理由は「新型コロナウイルスによる業務多忙」「対象文書が著しく大量」などとしていました。同6月に10ページだけ開示されましたが、自殺と公務の関連についての具体的な情報はなかったといいます。

 陳述で雅子さんは「(国側が)私が夫の自死の原因や経緯を知りたいという気持ちから逃げ、子どもだましのように問題の核心から逃げていると感じた」とも述べました。裁判所には「夫のことを知ることができない苦しみから解放してください」と求めました。

 閉廷後の会見では、自殺に至るまでの時期を「ずっと夫と2人で苦しんで、助けも求められず、長かった」と振り返りました。今は激励の声も多く届いているとして「本当に感謝している」とも述べました。

 現在の心境については「夫のために全力で私がやるしかない。気持ちは定まっている。悔しかった1年を、取り戻す気持ちでやっていく」と語りました。雅子さんはこの訴訟とは別の損害賠償請求訴訟を国と佐川宣寿・元財務省理財局長を相手取って起こしており、同地裁で審理中です。


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