2020年8月21日(金)
コメ コロナ禍在庫増大 暴落の危機
農村で不安広がる
農民連・共産党 備蓄米買い入れ要求
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米価暴落への不安が農村で広がっています。農民運動全国連合会(農民連)や日本共産党などは価格や需給安定のために政府備蓄米の買い上げを大幅に増やすなど抜本的な対策を求めています。
新型コロナウイルスの感染が拡大するなかで、飲食店の営業や旅行の自粛などが広がり、需要が急減。コメの民間在庫が増大しています。農水省のまとめによると、民間在庫は今年6月末時点で201万トン。昨年6月末時点の189万トンより12万トン上回っています。
在庫が増大するなかで、米価が下落する傾向が広がっています。
コシヒカリも
全国の米価の動向に大きな影響を与える新潟県産の一般コシヒカリは、農協が農家に支払う概算金が60キロ1万4000円と昨年より900円引き下げられました。三重でも相対(あいたい)取引価格が昨年より300円(60キロ)安くなっています。
農民連は4月以降、コロナ禍での19年産米の在庫増大による米価下落を防ぐ対策を繰り返し農林水産省に要求してきました。
5日には、農水省に対し、▽需給改善のために備蓄米を追加買い上げする▽買い上げた備蓄米を活用し、コロナ禍で生活困難になった人たちへの支援を行う―ことなどを求めました。
各地で農協や生産者、米卸業者などと懇談。実態や危機感を聞くとともに、「米価暴落を止めるためともに声をあげよう」と呼びかけています。
特別な対策を
日本共産党も、紙智子参院議員、田村貴昭、藤野保史の両衆院議員が4日、江藤拓農水相に対し、備蓄米の買い上げなど緊急の対策を要求。江藤農水相は「必要な対策を検討する」と応じました。
全国の農協を代表する全国農業協同組合中央会(JA全中)も「令和3年度水田農業対策等に関するJAグループの基本的考え方」で「備蓄米の追加入札など、翌年産に向けて、柔軟な対応を検討していくことが必要」と指摘しています。
一方、農水省は、追加買い入れには、慎重な姿勢を変えず、主食用米として作付けされている今年産米の出荷先を飼料用などに変更するよう生産者に呼びかけています。
農民連ふるさとネットワークの湯川喜朗事務局長は、「今回の過剰の原因は、コロナ禍での需要消滅です。政府は、生産者に責任を押し付けるのではなく、特別の対策を急ぐべきです」と話しています。(内田達朗)