2020年8月28日(金)
主張
コロナと雇用危機
暮らし支える制度は拡充こそ
新型コロナウイルスの感染拡大による雇用情勢の悪化に歯止めがかかりません。経済の冷え込みで休業者数は高止まりし、失業や解雇・雇い止めも増加しています。働く人が職を失い生活が行き詰まることを防ぐのが政治の重要な役割です。この間、コロナ対策で実現させた暮らしを守る制度の継続と拡充が必要です。
継続しより充実させる
政府が7月末発表した6月の休業者数は、製造業や飲食業を中心に236万人と高水準になっています。コロナの影響による解雇や雇い止めも増え続けており、8月下旬までで4万8千人を超えました。製造業や宿泊業、飲食業、小売業での増加が目立ちます。多くの労働者が路頭に迷う事態は避けなければなりません。
失業の広がりを防ぐため、先の国会では雇用調整助成金のコロナ特例措置がつくられました。コロナの影響で事業活動の縮小を余儀なくされた企業の従業員の雇用を維持するため、国が休業手当の一部を助成する特例です。売り上げや生産が減少しても解雇などを行わなかった場合、大企業には従業員の給与の4分の3、中小企業には10分の10を上限に助成します。8月下旬までの支給申請は約88万件、支給決定は約77万件、支給決定額は9900億円余りとなっています。
特例は9月末までとなっているため、野党からだけでなく、与党内からも延長を求める声が相次いでいました。労働団体だけでなく、日本経済団体連合会(経団連)などの財界団体からも延長を求める声が上がっています。コロナ特例は期限を区切るのでなく、コロナが収束するまで継続し、より充実させることが求められます。
もちろん現在の仕組みでは、休業手当だけでは生活できないという人も少なくありません。雇調金のコロナ特例は継続し、国費も大幅に投入して、労働者に役立つ仕組みへの改善が不可欠です。安倍晋三政権は、コロナ特例の延長のために財源の手当てを講じることなど、雇用危機を招かないよう力を尽くすべきです。
雇調金のコロナ特例だけでなく他の対策でも改革が必要です。休業手当が受け取れない中小企業の労働者への支援金も、きちんと行き届くようにしなければなりません。7月から始まった家賃支援給付金も“目詰まり”が指摘されています。申請に対して給付の決定がなかなか追いつかない状況を打開するために、申請の簡素化などが急がれます。
安倍政権のコロナ対策は規模の点でもスピードの点でも、不十分です。どの世論調査でも、安倍政権のコロナ対策への批判が7、8割に上っています。臨時国会を早期に開き、これまでの政策をしっかりと検証し、改善に向けて抜本的な対策を講じるべきです。
働く人こそが主役
政府が雇調金のコロナ特例などで雇用を支えるとともに、大企業にはこれまでため込んだ内部留保も活用し、雇用を守るよう求めてたたかうことも必要です。
働く人の暮らしが安定しなければ、日本経済の回復はできません。コロナ危機から国民を守るために、PCR等検査の抜本的拡充・医療体制の強力な支援と合わせ、雇用と営業を守る対策に真剣に取り組むべきです。