2020年9月4日(金)
主張
第5次共同参画案
ジェンダー格差埋める計画に
政府は男女共同参画基本法に基づき、第5次の男女共同参画基本計画を年内に策定する作業を進めています。基本計画は5年ごとに見直しが行われています。日本のジェンダー格差を着実に克服していくため、実効性あるものにすることが求められます。
コロナ危機で矛盾顕在化
コロナ危機は、日本の深刻なジェンダー格差を改めて浮き彫りにしています。女性労働者が多くを占めるパート・派遣で雇い止めが広がりました。一律休校による子どもたちのケア負担も女性に集中しました。10万円給付金の受取人を世帯主にしたことも問題になりました。第5次計画で、日本社会のあらゆる面でジェンダー平等を推進する方針を打ち出すことは、極めて切実な課題です。
今年は女性差別撤廃条約の批准から35年、戦後75年の節目にあたります。日本がジェンダーギャップ(男女格差)指数121位と世界から大きく立ち遅れている原因を深く分析し、女性差別撤廃条約などの国際基準と、両性の平等を定めた日本国憲法を土台に据え、女性たちの切実な願いに正面からこたえた内容にする必要があります。多様な性のあり方を認め、LGBTs(性的少数者)に関する差別の撤廃と権利擁護を含むものにすることも望まれます。
しかし、政府が示した第5次計画案は、国民の期待にこたえる中身になっていません。
「2020年までに指導的地位に女性が占める割合」を30%にする従来の目標達成を断念し、「20年代の可能な限り早期」に先送りしました。「(目標が)社会全体で十分共有されなかった」などと国民に責任をおしつけ、政府の反省はありません。国連をはじめ世界では、30年までに男女の完全な平等(50%・50%)を掲げ、努力を始めています。日本も「男女半々」の目標を掲げ、本気の取り組みを進めるべきです。
安倍晋三政権下の15年策定の第4次計画以降、男女共同参画推進は後景に追いやられ、「女性活躍」の名で「女性活用」推進路線が前面に出されました。第5次計画案ではそれが一層露骨です。非正規雇用は「多様な就業ニーズに応える」ものだとし、フリーランスなど「雇用によらない働き方」拡大は「多様な働き方の選択への環境整備」などと描きます。女性を安上がりの労働力とみなす財界の意向をそのまま持ち込んでいます。
雇用におけるジェンダー平等の遅れの実態をみない姿勢は大問題です。「男性は仕事、女性は家族のケア」という根深い性別役割分業を背景に、男性の長時間労働と、賃金や昇進をめぐる女性に対する間接差別は温存され続けています。男女ともに仕事と家庭生活を両立できる働き方の実現へ、労働時間短縮を進める法整備に踏み込むことが急がれます。
多くの願いを政府に届け
女性の貧困対策、女性に対する暴力の根絶、選択的夫婦別姓制度の実現など課題は山積みです。あらゆる施策にジェンダーの視点を貫く第5次計画にすることが不可欠です。7日締め切りで行われている計画案への意見募集(パブリックコメント)に、多くの声を届けましょう。日本共産党は幅広い人たちと共同し、コロナ危機の先にジェンダー平等社会を築いていくために、力を尽くします。