2020年9月15日(火)
自民、電通へ100億円超
19年間 政党助成金から支出
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自民党に交付された政党助成金のうち、19年間で100億円を超える額が広告代理店最大手の電通とそのグループ会社に支出されていることが、本紙の調べで分かりました。同業他社と比べても極めて多額です。電通は自民党の政治資金団体「国民政治協会」に多額の献金をしており、自民党と電通の「特別な関係」がうかがえます。
自民党が総務省に提出した各年の政党助成金の使途等報告書から集計しました。2000年から18年までに自民党から電通とグループ会社に宣伝広報などの取引を通じて支出された額は111・8億円でした。電通グループ(電通G)への支出は国政選挙が実施された年に増加する傾向があります。総選挙が行われた00年は20・7億円、自民党が当時の民主党に総選挙で惨敗して下野した09年には17億円もの支出がありました。
電通Gと同様、広告代理店を営むアサツーディ・ケィ(現・ADKグループ)には累計6・5億円、博報堂には448万円の支出にとどまります。博報堂と自民党は04年以降、取引はありません。PR会社のプラップ・ジャパンに対しては05年から08年にかけて1・3億円の取引がありました。他社の実績と比べても電通Gとの取引の巨額さが際立ちます。
電通は「国民政治協会」に対し、安倍晋三政権が発足した12年から18年までの7年間で計3600万円を献金してきました。自民党が「特別な関係」を結ぶ電通に対し、国民の税金を原資とする政党助成金で仕事を与え、国民に悪政を押し付けている構図です。
コロナ禍のもとでも電通は一般社団法人を使って政府の持続化給付金事業を再委託し、さらに他社に再々委託することで手数料を「中抜き」するなど税金を食い物にしています。政府・自民党と電通の癒着が問われています。
「選挙丸投げ」の指摘も
自民党から電通Gに支出された111・8億円のうち、97・1%に当たる108・5億円が宣伝事業費の名目です。宣伝事業費の内訳を見ると、その多くが「宣伝広報費」に仕分けられています。2018年の場合、電通Gに支払われた宣伝事業費7億円のうち88・8%に当たる6・2億円が「宣伝広報費」でした。
自民党の宣伝広報費をめぐっては、08年2月8日の衆院予算委員会で取り上げられています。当時の民主党議員が自民党の宣伝事業費の内訳について宣伝広報費、印刷製本費、通信運搬費、筆耕翻訳料の4項目しかないことを指摘。「ブラックボックス」だと批判していました。これに対し政府の会計検査院は「項目別の金額などを記載した報告書などを総務大臣に提出」していれば問題はないと答えています。結局、自民党の宣伝広報費がどのように使われたのかは厚いベールに包まれたままです。
13年の参院選で自民党が配布した政策パンフには印刷者として電通Gを構成する電通テックの名前が明記されており、宣伝・広報に深く関わっていることがうかがえます。自民党に詳しいジャーナリストは「自民党の選挙は電通に丸投げですよ」と裏事情を語ります。