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2020年9月16日(水)

主張

「都構想」住民投票

再び「大阪市壊すな」の審判を

 大阪市をなくし四つの特別区に分割する「大阪市廃止=都構想」のための「協定書」が、大阪府・市の議会で大阪維新の会と公明党などの賛成多数で可決されました。11月1日にも大阪市民の住民投票が実施されます。「都構想」の賛否を問う住民投票は2015年に否決されて以来2度目となります。

 いま必要なのは、大阪市の力をいかした新型コロナ対策の抜本的な強化です。「大阪市の廃止」は逆行に他なりません。住民の命と健康、くらし第一の大阪を実現するため、力を合わせて「都構想」に再びノーの審判を下しましょう。

コロナ対策の転換こそ

 大阪市のコロナ感染の陽性率は、府内の他自治体と比べ依然として高く、深刻な状況は変わっていません。維新の吉村洋文府知事と松井一郎市長は、府市一体で「うまくやっている」といいますが、PCR大量検査については「現状ではそう簡単にはできない。やる必要もない」と背を向けています。府内では各自治体の努力によって8月末時点で34カ所の「地域外来・検査センター」が設置されましたが、大阪市は四つのみです。

 コロナ対策の遅れの背景には、「二重行政の解消」を叫び、住吉市民病院廃止などを強行した維新政治があります。公衆衛生研究所の統合も進め、大阪市で一つにした保健所を増やそうとしません。府知事・市長だった橋下徹・元維新代表がツイッターで「僕が今更言うのもおかしいところですが、大阪府知事時代、大阪市長時代に徹底的な改革を断行し、有事の今、現場を疲弊させているところがあると思います」と言い出し、怒りをかいました。急ぐべきは、維新政治下のコロナ対策からの転換であり、大阪市の廃止・解体のための住民投票ではありません。

 「都構想」の「設計図」の破綻もあらわです。最大の問題は、政令市としての権限・財源で築いてきた「18歳までの医療費助成」「敬老パス」などの住民サービスが、市廃止後につくる四つの特別区では維持できず、住民のくらしが支えられなくなることです。

 特別区の独自財源の65%は府に吸い上げられ、府からの交付金頼みになります。しかも特別区の設置コストは15年間で少なくとも1300億円にもなります。府から毎年20億円補てんすると設計図を急きょ変更したものの、焼け石に水です。

 「都構想」の「財政シミュレーション」も問われます。コロナで大阪メトロの収益増は見込めないのに、「コロナ以前」より収益が上がる見通しになっています。甘い見積もりの数字のつじつま合わせでごまかすやり方は大問題です。

くらし向上の道にこそ

 設置コストの一部でも市民サービスに使うなら、子どもの医療費の無料化拡大(19億円)、「30人学級」の実現(102億円)、介護保険料の17%引き下げ(85億円)、公立・私立保育所の保育士(勤続7年以上)の給与の月4万円引き上げ(10億円)などが実現できます。くらしを壊す「都構想」の道でなく、くらしをよくする大阪市政への道に踏み出すことこそ必要です。

 住民投票は、大阪の自治とくらしを守るたたかいと同時に、「安倍政治」の補完勢力、維新に審判を下す重要な機会です。再度「都構想反対」の声を明確に示し、大阪と日本の未来を開きましょう。


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