2020年9月26日(土)
気候変動対策 国連円卓会議
「世界は燃え上がっている」
総長「喫緊の課題」
コロナ対策と並行の取り組み強化を
【ワシントン=遠藤誠二】国連気候変動ハイレベル円卓会議が24日、オンラインで開かれました。国連のグテレス事務総長は演説で、気候変動対策は喫緊の課題だと改めて訴え、新型コロナウイルス対策と並行した取り組み強化を呼び掛けました。
「世界は高熱を発し燃え上がっている」と述べたグテレス氏は、「森林火災、記録的な洪水など気候に関する混乱は日々のニュースになっている」「二酸化炭素の排出と森林火災は昨年、過去最高となり、1990年から62%増加した」と指摘。「われわれは緊急に進路を逆行させなければならない」と訴えました。
三つの緊急の優先課題として、(1)気候変動対策に取り組む新型コロナウイルス禍からの復興計画(2)科学的根拠と一致した行動による経済・社会の保護(3)最も脆弱(ぜいじゃく)な人々、社会の最優先化―を提示。具体的には▽環境への投資と適切な雇用▽石炭など汚染産業救済の拒否▽化石燃料への補助終結▽脱炭素化を図った新型コロナからの復興計画―などを挙げました。
グテレス氏は、気候変動対策の国際的枠組み「パリ協定」が定める世界の平均気温上昇を産業革命時から1・5度に抑える目標達成のため、「2030年までに1990年ベースで温室効果ガスを45%削減し、50年までに実質ゼロにする」ことを提唱しました。
すべての政府に対し、温室効果ガス排出の国別目標(NDC)と長期戦略を国連気候変動枠組み条約・第26回締約国会議(COP26、21年11月)前の出来るだけ早期に提示するよう呼び掛けました。
円卓会議では、COP26議長国・英国のジョンソン首相、COP25(19年)議長国チリのピニェラ大統領、市民代表、ビジネス界代表らも演説しました。