2020年9月30日(水)
大阪市を廃止する「都」構想に反対
住民サービス切り必至
テレビ討論 山中党市議団長が主張
大阪市を廃止し四つの特別区に分割する「大阪都」構想の住民投票(10月12日告示、11月1日投票)をめぐり、朝日放送テレビ「キャスト」は28日、討論番組を生放送し、日本共産党、大阪維新の会、自民党、公明党の代表者が議論しました。共産党から山中智子大阪市議団長が出演しました。
山中氏は、大阪市を四つの特別区に分割すると、行政運営の経費が今より増大するにもかかわらず、国からの地方交付税に増大分は反映されないと指摘。「収入は減るのにコストは増えるので、住民サービスに切り込まざるを得なくなる」と語りました。
そのうえで、維新が「都」構想で保健所を市内1カ所から4カ所(各特別区に一つ)にし、人員も増やすとしていることについて、山中氏は、増員数はごく少数にとどまると強調。「保健所四つ分のお金が来ないので、人材や財源が続かなくなる」と警告し、豊かな財源と権限をもった政令市であってこそ、保健所の体制や数を拡充し、専門性も担保できると述べました。
維新の松井一郎代表・大阪市長は、大阪市に専門職が少ないのは「無駄な使い方をしてお金がなく、一定期間、専門職の採用を止めた(からだ)」と論点をずらしました。
山中氏は、バブル崩壊前に抱えた大きな負債は返済の見通しが立っており「(大阪市廃止のような)無駄なことをしなければ、ほっと一息つく。この力で増やしていくべきだ」と力を込めました。
住民サービスについて司会者は、「協定書(大阪市廃止の制度案)の中には、特別区の『設置の際は維持する』と書かれている。ただ、『設置の日以後』は『維持するよう努める』とある」と解説しました。
松井氏は、住民サービスは維持できないと指摘した山中氏に対し、「財政シミュレーションしている。マイナスにはならない」と主張。他方で「特別区になった時に財源はマイナスにはならない。サービスは維持できる」と設置時と「設置の日以後」を混同し、ごまかしに終始しました。
“府民じゃないなら分からない”
松井市長 議論排除の暴言
28日放送の情報番組「キャスト」(朝日放送)で、松井一郎大阪市長が「大阪都」構想をめぐり、大阪府外に住む出演者に対し“府民じゃないなら分からない”と暴言を吐き、議論から排除しようとする一幕がありました。
松井氏が血相を変えたのは、番組レギュラーの三輪記子弁護士が質問した場面。大阪市を廃止して設置される四つの特別区への財源配分について、「少ないパイを奪い合う構造になるのではないか」などと投げかけた三輪氏に対し、松井氏は唐突に「府民なんですか、市民なんですか」と詰問し始めました。
三輪氏が「大阪府民ではない」と答えると、松井氏は「じゃあ分かってないじゃないですか」「大阪のこと分かってないのに恣意(しい)的な発言はやめて」と、発言を封じようとしました。
三輪氏の発言を再三遮り、指をさして迫る松井氏。たまらず、コメンテーターの木原善隆氏が「府民以外の方も見ているので、府民以外なら分からないというのはちょっと問題がある」と指摘。司会の上田剛彦アナウンサーも「大阪市民でも知らない人はいるかもしれない。市民の一部も排除してしまうことになるので、あまりそういう言い方はしない方が良い」とたしなめました。
それでも松井氏は、「大阪の状況をご存じないから言っている」と開き直る始末でした。